茶・菓子・果物・野菜・素材・酒・酒菜などについてのひとりごと含めた杜屋(もりや)のブログです
杜の茶菓菜(もりのさかな)
手仕事
この一ヶ月ちょっとの間、我ながらめざましい勢いで多種多数のマーマレードとジャムを作った。
こないだうちにいらしたお客様、
「マーマレードとジャムは何が違うんですか?」
「果物と砂糖を煮たジャムの中でも柑橘類の皮を使ったものをマーマレードというんです」
「苺ジャムはありますか?」
「今は完売中で~~例年4月か5月に作ってます」
そういえば巷ではクリスマスから苺が出回ってるのが当たり前。うちの畑の苺はまだ花も咲かないのに。
ちなみに柑橘類でも皮が入っておらず果肉と砂糖だけを煮たものはマーマレードではなくジャムといいます。
一般にマーマレードと言ってもピンキリで、皮と糖類と増粘剤などで作られているのもあるけれど
私のは増粘剤を使わないのは当然ながら、皮以上に果肉もたっぷり使うのでフルーツの味が濃いのが特徴。
杜屋を始めた当初から、静岡県産の種類豊富な柑橘類を使って種類毎のマーマレードを作ってるので
「焼き菓子&ジャム」ではなく「焼き菓子&マーマレード」の杜屋としてマーマレードを特化してるけど
柑橘以外の果物のジャムも最初の頃に比べてぐんと増えたので、
ご注文時「青島みかんのジャムとー、レモンのジャムとー」と言ってもらっても全然かまいませんです。
果物名だけでもOK。要は分かればOK。
それにしても、ジャムの倍以上テマヒマかかるマーマレード作り。
りんごジャムとレモンマーマレードの作業工程を比較すると、手数も時間も5倍以上かかる。
それを果汁絞り機や皮刻み機などの機械を使わずひとつひとつ手作業で進めるからさー大変。
レモンやハムリンオレンジは半分に切って手で絞る。手にマメが出来るのが当たり前。
ここんとこ、力仕事の果汁絞り作業はオットに手伝ってもらってたけど
皮を刻む作業は好きなので私がやる。包丁でサクサク刻むのが楽しい。
絞るにしろ刻むにしろ同じ作業を1時間も繰り返してるとさすがに飽きてくるが
特大ボール一杯満たした皮と果汁と直径40cm大のジャム用銅鍋を眺めていると
家庭用の小さなホーロー鍋でジャム瓶4個分とか、ほんの少しずつ作ってた昔をふと思い出す。
今年の八朔

奈良にある夫の実家の庭に、それはそれは立派な一本の八朔の木がある。
お菓子屋「杜屋」を始めるはるか前からその八朔をお裾分け頂き、マーマレード作りをしてきた。
私の数あるマーマレードメニューの中でダントツの量を作ってきたのが八朔。

義父が毎年丹精込めて丁寧に手入れをしてくれていたので例年100kg以上採れていたが
残念ながら今年は木が弱ってしまい、収量も限られたものだった。
冬休みに帰省してびっくり!えー毎年あんなにたくさん実っていたのにー
木を見上げて愕然としていたら、義母に「夏に電話で言ったじゃない。今年は八朔ないよって」
と言われて、そういえばそうだったと思い出した。

とはいえ、今年もそのわずかな実りを頂いて参りました。
毎年山のように作る八朔マーマレード、
バリエーションとして蜂蜜とバニラビーンズ入りのも作っていたけれど
今年はそのアレンジバージョンは無しで、プレーンの八朔マーマレードのみとなります。
グレープフルーツのようなしゃっきりとしたほろ苦味のある八朔、
ビターなマーマレードが好きな方には一押しです。
緑のマーマレード

かぼすマーマレードのご注文下さったお客様が
「美しい緑色に見入っています」と振込用紙にメッセージをお書き添え下さった。
秋刀魚のおいしい季節、一気に全国に出回るかぼす。
かぼすも熟すと黄色になるが、黄色いかぼすって特産地の大分県以外ではあまり見かけない。
レモンもそうだけどかぼすも熟すにつれだんだん酸味がマイルドになってくる。
フレッシュな清々しい香りの緑のうちにマーマレードにして瓶詰めすればずっと緑色のまま。


はるみマーマレード

今や知らない人はいない程の人気の柑橘「デコポン」は
ポンカンと清見を掛け合わせて熊本県で生まれた品種。
静岡生まれの「はるみ」も同じ、ポンカンと清見の掛け合わせ品種で
デコポンの兄弟にあたる。

デコポンよりも皮がうすく、普通のみかんのように簡単に
皮がむけるのがはるみのいいところ。
果肉のうまみ、甘味の濃厚さは格別。
果肉の一粒一粒がシャキっとしていて、食感も心地いい。
みかんの数倍の値段はしても、やっぱりたまには食べたいはるみ。
このはるみをマーマレードにするのはちょっともったいない気がしつつ
今年も無農薬のはるみを使ったマーマレードを作りました。
金柑蜜煮

今年は、ご近所の方のお庭に実った無農薬の金柑を
たくさん分けて頂いたので、全部マーマレードにせずに甘煮も作った。
半割りにした金柑の種を取ってゆでこぼす。
その後、マーマレードのように細かく刻まず、
その形のまま砂糖を加えてコトコト炊き上げる。


瓶詰保存しておいて、いつか焼き菓子の材料として使おうかと思ったけれど、
そのまま食べてもおいしい。一粒二粒あるとうれしいお茶受けに。
まろやかな甘味が、喉にも優しい金柑蜜煮。
後に残ったシロップも、お湯や冷水で割ってドリンクに。
「金柑蜜煮」金柑マーマレード同様、Rサイズ¥600で販売します。

手の平一杯分だけ実った実も、一緒に蜜煮にした。
玄関前の巨大なケヤキの木の横にちんまり生えてる金柑の木。
日当たりも悪いしなかなか大きくならないけれど、
毎年けなげに実を結ぶ。
伊予柑マーマレード
「伊予柑が好き」という方も多いと思う。
特有のフルーティーな芳香と濃厚な甘さは伊予柑ならでは。
伊予柑の生産量が最も多いのは、その名の通り伊予=愛媛県だけど
実は山口県が原産地だそう。
「伊予柑」という名前は伊予に普及してからついたのだろうか。

伊予柑もハムリンオレンジ同様静岡県内の無農薬農家さんのもの。
それにしてもこの農家さんの柑橘はどれもうれしくなるほど味が濃い。

マーマレードのレシピには「果肉を食べた後の皮をとっておいて、
皮と砂糖と一緒に煮る」というのもあるけれど、
私のマーマレードは果肉も贅沢に全部皮と一緒に炊き込むので、
果実の風味が強くなる。とりわけ伊予柑は果肉分多めで作るのでフルーティー。
苦味も少なく食べやすいので「マーマレードは苦味があるから苦手」という方にもおすすめ。
伊予柑マーマレードは、パンにもヨーグルトにもオールマイティーに合う万能選手。
ハムリンオレンジマーマレード

静岡県内で、無農薬で果樹を栽培されている農家さんから
毎年マーマレード用の各種柑橘を買わせて頂いている。
この農家さんところにあるハムリンオレンジは、日本では珍しい原種に近い品種。
普通のみかんのSサイズくらいの小さな小さなオレンジ。
まさにオーソドックスなオレンジらしい味で、春の花のような甘い香りがほんのり。
このハムリンオレンジの花から蜂蜜がとれたらさぞおいしいだろうな~。

豊富な果汁がしっかり染み込んだしっとりしなやかな皮の食感はオレンジならでは。
「皮が好き」というマーマレード好きな方にはとりわけおすすめ。
シンプルなパウンドケーキやマフィン、クッキーなどに焼きこんだりしても使えます。
しかし、この小粒さは作り手泣かせではある。
皮をむいてナイフで皮のキズをとって刻んで・・・そしてまた気が遠くなる。
柚子マーマレード

いよいよ柑橘の季節本番。マーマレードシーズン到来。
10月に作った緑のかぼすマーマレードはトップバッター、
その後柚子を皮切りに、みかん、レモン、八朔、伊予柑などと、
旬の順にマーマレードを作っていく。
今日第二金曜日はロミパンさんへの納品日。
出来たての柚子マーマレードをロミパンさんへ、そしてメリーズさんへも納品しました。


置いておくだけで胸がすくような芳香を放つ柚子。
まろやかな酸味と口あたり、そして後から感じる柔らかなほろ苦味。
ひとさじスプーンですくって口に入れ、飲み込んだ後に残る後味まで
酸味、甘み、香り、苦味を順番に感じる柚子マーマレードは
そのままでも、お湯割りでホットドリンクでも、
パンにのせる他、フレンチトーストなどにかけても。
『お菓子の国2008』
12/13(土) 13:00~17:00 仙台市のメリーズさん2階で開催されます。
杜の畑の甘夏柑マーマレード


マーマレードでは初!自家栽培シリーズ「杜の畑の甘夏柑マーマレード」完成。
去年初めて花が咲き、今月無事に実を収穫することが出来た甘夏柑。
庭のすみっこの日当たりのあまりよくない場所にあり、私の身の丈にも及ばない
まだまだ成長途上の木ながらも、全部で5kgほどの実がとれた。
農薬も化学肥料も使わずにほとんど放置していたにもかかわらず、
皮のキズも少なくてきれい。大きさも存分。
確か植えたのは4年前。「いつかこの実でマーマレードを作ることが出来ればいいな・・・」
スコップで植えつける穴を掘りながらそう思ったのを覚えてる。
頭の中で描いていた思いが実現するって、スバラシイ。

苦味も少なく、爽やかな甘酸っぱさで手前味噌さながらにいける味わいのマーマレード。
これは料理やタレなどの調味料代わりに使ったりせず、パンやクラッカーにのせて
マーマレードそのものをストレートに味わって欲しい感じ。クリームチーズと合わせてもグー。
「杜の畑の甘夏柑マーマレード」は数に限りがあります。
完売後は自家栽培ではない「甘夏柑マーマレード」を順に販売していく予定です。
いずれも無農薬無化学肥料栽培ということに変わりはありません。
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