日々の感じた事をつづる
永人のひとごころ
2月1日 連帯意識のお念仏
2月1日
連帯意識のお念仏。
永久5年(1117)5月15日念仏三昧を修していた良忍に阿弥陀仏の示現があった。彼は次のような偈(げ)を感得した。
『一人一切人、一切人一人、一行一切行、一切行一行』
(いちにんいっさいにん、いっさいにんいちにん、
いちぎょういっさいぎょう、いっさいぎょういちぎょう)
実はこの偈が――融通念仏の思想的根拠――なのである。良忍はこの偈に基づいて融通念仏の理論を完成し、融通念仏宗を開いた。
良忍はもともと天台宗の僧であり、大原に来迎院を建てて念仏生活を送っていた。その彼に阿弥陀仏の方から新しい念仏理論を啓示されたのである。
その念仏理論は、この宇宙に存在しているものの内,他から孤立し、単独に存在しているものはない。
一つのものは宇宙全体の中の一つであり、その一つが全体(一切)に他ならないのだ、というものである。私たちは一人一人が別々の存在であるかの様に思っているが、家族であれ、あるいは職場の集団であれ、だれか一人が病気になったような時、全員の気が滅入るものである。
その意味ではひとりの行動がその人一人のものではなく、皆に影響する。そう考えるとこの宇宙においては、一人が一切人であり(一人一切人)、一切人が同時に一人なのだ(一切人一人)。
そして一人が称えるお念仏が他の人のお念仏になり(一行一切行)、他のすべての人が称えるお念仏が私のお念仏になる(一切行一行)のである。
そして良忍は、そのようなお念仏の行を―融通―と呼んだのである。
私のお念仏を他人に融通し、他人のお念仏を私に融通してもらう。そうすれば、百人が百回ずつお念仏すれば一万回のお念仏になる。
一万人が一万回ずつお念仏すれば、一億回のお念仏になる訳だ。それが「融通念仏」である。
労働組合の集会で皆で声を合わせて『頑張ろう!』とシュプレヒコールする。あれは、苦しんでいるのは自分一人ではないのだ。ここにこんなに大勢の仲間がいる。
この仲間が力を合わせて取り組めば、きっと問題は解決できるといった意志の確認なのだ。融通念仏と言うものも、そのようなお念仏の仲間の連帯意識に基づいた念仏である。
良忍は天承2年(1132)2月1日示寂・享年61。
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