今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

奥武蔵2:都幾川へ足を伸ばす

2014年03月15日 | 温泉

快晴となった2日目、チェックアウトしてから無料のレンタサイクルを借りる。
電動アシスト付きなのがうれしい(ちなみに越生駅前の観光案内所でも梅まつりの期間限定で同様のサービスがある)。
さて、自転車を借りて私はどこを目ざすかというと、
ここから北の隣町である「ときがわ町」にある、日帰り温泉施設「四季彩館」なのだ。
そこは交通不便なところにあり、町営バスを2本乗り継がなくてはならない。町営バスとなれば、どこでも本数が少ない。
しかもその町営バスに乗れる駅は、越生からだとローカルな八高線の駅なので、電車、いやディーゼルの本数も少ない(八高線は首都圏で唯一未電化)。
なので、宿からトボトボ歩いて行く覚悟だったのだが、その宿で無料のレンタサイクルに出会ったわけだ。

なぜ、そんな不便な地のしかも普段なら素通りする日帰り温泉に行きたいのかというと、もちろんそれなりの理由があり、
ときがわ(都幾川)周辺で最近掘られた温泉(以後、都幾川温泉)は、pH10に達する日本有数の強アルカリ泉なのだ!
ところが、都幾川温泉は、山奥ではないのに交通不便で、しかも宿泊施設がない(公・民ともに財力がないんだな)。
私とて、東京から交通不便なこの地に、1浴するためだけに日帰りで往復するには二の足を踏む。
だからこそ、隣町の越生に宿をとった今回の機会を逃したくなかった。

うれしいことに無料のしかも電動アシスト付きの自転車を借りられたので、峠越えのアップダウンも苦もなく鼻歌気分で走り抜ける。
さて、四季彩館に着いて、受付で、越生の宿のロビーで見つけた東武発行のクーポン券を差し出すと200円引いてくれる。
広くないが真新しい浴室・浴槽はウッディ。
越生も含めて、このあたりは木材産業が盛んらしい。

まずは掲示されている「分析表」を読む。
源泉は15.2℃と湧き水並みの冷たさ。なので冷泉。
湧出量は9ℓ/分 とかなり・かなり少ない(浴用に適さないほど)。
pHは8.7なので、”強”がつかないアルカリ泉。
溶存物質は9520g/kgもあり、温泉成分はすこぶる濃い(1000を超えれば療養泉合格)。
主たる陽イオンはナトリウム(Na+)で95.4ミリバル%、主たる陰イオンは塩化物(Cl-)で86.9ミリバル%。
なので泉質は「ナトリウム−塩化物冷鉱泉」となる。
泉温ではなく、成分の濃度によって立派な温泉法上の「温泉」。
それどころか成分が濃く「等張性」に達している点は貴重(たいていの温泉は「低張性」)。浸透圧が高いので、成分が肌から吸収されやすい。
適応症としては、切り傷、やけど、慢性皮膚病などで皮膚によく、
pHがこれだけ高く成分が濃いと、”症状”でないので記載されないが、美肌効果が高い。

以上は、分析表にもとづく”源泉”についての評価。
実際には、湧出量が極端に少ないため、浴槽には温泉1に対して5倍加水しているという(加水量を正直に記しているのは珍しい)。そしてもちろん循環もしている。
なので実際の浴槽の湯の評価は分析表からはできない。

さて、浴槽に身を沈めてみる。
アルカリ泉特有の肌へのぬめりを期待したが、肌触りはごく普通。湯の薄さのせいもあろう。
さらに無色・無臭なので、正直言って温泉に入っているという実感には乏しい。
最後に湯口からサンプルを採取して上がり(残留塩素は水道並みなので上がり湯はしない)、脱衣場でゆっくり検査。
日帰り温泉の例に漏れず、塩素消毒はされているが、残留塩素は検出限界以下の0.0mg/ℓ(サンピアの宿は2つの湯とも3.0とやたら高かった)。
pHは検出限界の8.6に達し、Mアルカリ度は他の温泉並の180mg/ℓ。
そして電気伝導度はさすがの6458μS(28℃)。
5倍に加水(希釈)してなおこの値は立派。
サンピアの宿の”温泉”はpHこそ対等だったが、電気伝導度はここの1/14.5。
あちらはどのくらい加水しているのだろう。

湯から出て、館内で一休みしてもさすがに湯冷めしない。
交通が便利になるか宿泊施設でも作ってくれると、私ならありがたく利用するのだが。