前回、思わぬ自分語りになってしまったついでに、さらに自分のパーソナリティを”病理的”に紹介したい。
自分の行動的特徴はAD/HDだが、社会的にはアスペルガー症候群的部分もある。
アスペルガー症候群(またはアスペルガー障害、以下アスペ)は、
最新のDSM-5では、「自閉症スペクトラム障害」に統合されたように、自閉症系の1バリエーション。
アスペはその中で知的には問題がないパターン。
どういう点で自分がアスペ的かというと、
①特定のものにこだわり、熱中する。
②独創的、慣習に縛られない。
③隠喩・含意がわからない(空気が読めない)。
④他人の表情の同定が困難。
①②は、研究職にはプラスに作用する。
③④は、対人関係に失敗する要素なので社会生活で不利。
そこで私は、心理学、その中でも社会心理学を専門にした。
アスペだからこそ、自分を理解する臨床心理学ではなく、
自分が相手しなくてはならない普通の他者を理解するために社会心理学を選んだのだ。
すなわち、①②の長所を活かして、③④の不得意分野を”研究対象”にして、それを知的に克服しようとしたわけ。
たとえば③については、自分で「会話における含意の論理・心理学的抽出モデル」(2003)を考案して,
アスペだと直観的に理解できない含意を論理的に推論する手法を得た
(言語の詩的運用ができないので、和歌や俳句の鑑賞も苦手)。
それから対人関係の微妙な距離感(これがまた苦手!)の解明を研究のライフワークにしている。
④についてはエクマンの『表情分析入門』を勉強すればOK(左脳で表情を解読する)。
さらに、常識的振舞いも直観的には分らないので、あえて「小笠原流礼法」という最高の所作法を勉強した。
アスペであっても、自分の能力を活かせれば、エジソン、アインシュタイン、信長のように自己実現的に生きる事ができる。
私のように社会に適応することにマイペースでいられるタイプは、少なくとも現代では生きやすい(他人からは変人扱いされるが)。
むしろ、社会適応がすべてで標準から外れないようしがみついている人は、かえって”うつ”になりやすい時代だ。
実際私は、あらゆる心的障害の中で、”うつ”が一番縁遠い。