債務上限問題がぎりぎりまでもつれ込んでいる。妥協案がなかなか成立しない背後には、ティーパーティのような強硬派が共和党に影響力を行使していることがあるようだ。ティーパーティーのカリスマ的存在のロン・ポールは、以前から反FRB主義者、金本位制論者であり、あらゆる意味での、財政拡大や、金融緩和に反対する生粋のリバタリアンである。議会でFRBを監視する委員会の長にもついており、次の大統領選にも出馬するかまえである。彼自体の影響力は限られているが、ティーパーティの考えるような、緊縮財政・小さい政府は支持を得やすい環境であり、今後も共和党の妥協案作成に影響を及ぼすだろう。
政府は共和党との妥協が成立したらガイトナーが辞任するという説も出されたが(前のエントリーでオバマ辞任としたのは誤報であった。訂正したい。)ガイトナー自身はこれを否定している。ただ、かなりきびしい交渉になっていることは間違いないだろう。最終的行方は予断を許さないが、きわめて妥協的・一時的な案になると思われる。デフォルトは避けられても、米国債の格下げは近いうちにある可能性が高くなったのではないか。
ドル円が77円台半ばに入ってきて、いよいよ介入の可能性も出てきた。前回安値の76円台半ばがおそらくメドになるだろう。そのあたりで急速な下げがあれば、円売りの介入がある可能性が高いが、これはドル売りの世界的流れの中でたちまち円買いに吸収されると思われる。ドル円ショートの好機としか言いようがない。
ただ8月2日以降、米国債の格下げが実施され、世界的金融市場の混乱の中で、ドルの急速な下げがあった場合には、G7による協調介入が行われる可能性は残されている。この場合は、かなり効果があるはずで、ドル円で数円幅での上昇があると思う。この時期には大きなポジションでのドル円ショートは避けておきたい。ただ、中期的には、それもドル円ショートのいい機会であり、上げを見定めてからじっくりと売っていきたい。ドル円は、私の見通しでは、今年から来年にかけてさらに大きく下げる時期があると考えている。ひたすら戻り売りに徹するのみである。
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