榊原英資氏が最新号のアエラで「最近、株を全部売って国債(米国債か日本国債かは不明)に替えた。」「ドルは暴落しない。」と言っている。彼の予想もはずれることは多いが、しかし、先の円高を早くから予測していた一人ではあるので、ここは、その説を聞いてみよう。
アエラの内容を要約すると次のようなことだ。
1 今後2年あるいは5年は大不況が続く。
2 資産価値の減少は続くので元本保証の国債が一番だ。
3 ドル円は100円から110円、場合によっては更に円安になる。
4 米国債は格付け会社が格を下げないのでAAAを保ち、よって米ドルも暴落しない。
5 米国債は「腐っても鯛」。不況から最初に脱するのも米国だ。
6 医療・教育・農業分野での規制緩和が重要だ。
円高の榊原はどこへ行ったというような内容であるが、注目すべき点としては、今年のうちに景気回復などということは彼もまったく予想していないことだ。そして、米国債に対する信仰的なまでの信頼感があるのにはさらに驚いた。円高主義者として鳴らした彼ですらこれだから、一般の日本財務省官僚や日銀マンたちは、もちろん、米国債絶対主義だろう。
ということで、これもひとつの見方である。不況は2014年まで続くが、米国が回復することで世界も回復するということになり、円高はもう来ないという形での予測となる。これは先のエントリーの若林説よりもさらに米国を評価した予測となる。こういう見方も大きいことは知っておくといいだろう。
なお、教育分野の規制緩和が必要であるというのはもっともだ。日本の大学は世界でも競争力がまったくないことはよく知られている。ただ、日本の強みと見られる均一性は、このガラパゴス化した教育体制から生まれていることも事実なので、これを触ることはパンドラの箱を開けることにもなる。むずかしい問題である。
#(追記)なお、この榊原予想は、不況が5年続くと言う点は賛成しますが、円高が来ないという点には私はまったく賛成しません。ドルは存亡の瀬戸際まで行くと思っています。
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