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大学入試で人物評価を重視する。個性の選別

2013-10-16 | Weblog
・教育再生実行会議「国公立大学入試では面接や小論文、ボランティア経験になどによる人物評価を重視する」文科大臣が阿呆な発言してましたね。現実問題として、1000人単位の応募者をどうやって面接するのか?これは大学の先生は大反対であろう。「ボランティアや小論文」といつもの2つが出てきましたね。はっきりいって、中学生高校生はボランティアする前に、きちんと学校の勉強をすべきですね。どうしてもボランティアというのなら、道徳の授業に組み入れて強制にしたほうがいい(ボランティアではないか)。しかしそのほうが子供の心の成長には有益だと思います。そして小論文もね。原稿用紙数枚でいったい人の何がわかるのか?ネット人格と同じで、文章に現れる人格と実際の人格には剥離があるのを知らないのか?そしてこれもいつもの「詰め込み教育反対論」。科学は日々進歩しており、最先端にたどり着くまでの旅程がどんどん長くなっているのに、知識量を減らしてどうするのかと。あたりまえだが、大学は最高学府であり学問を極めるところ。特に国公立大学は学力上位校が多いのだから、知識薄弱者では先端研究は無理でしょう。よく「思考力と知識を詰め込み知識は違う」と言われます。これまたテクニカルタームですが、じゃあ知識なくして何を思考せよというのか?知識は「詰め込めれるだけ詰め込んだほうがいい」に決まってる。知識を詰め込んではいけないという意見はまったくおかしい。脳に100の記憶容量があるなら、できるかぎり100を目指して詰め込むべきである。問題は詰め込み方であって、ものごとの理(ことわり)を解したうえで(理解)、各知識がリンクして網目になるように詰め込めるか?詰め込みについて議論するのなら、方法論を焦点にすべきなのである。料理は舌が良いだけでは美味しくつくれない。器具の使い方、食材の選び方等、豊富な知識と技術が必要なのはだれもが認めるところ。なぜ学問になると知識を否定するのか?「たくさん覚えてそれを活用せよ」となぜ言えない?よく引き合いにだされる「スティーブ・ジョブズは大学行ってない」「だからイノベーションに大学教育は不要」・・・彼は「統括者」として優秀だったわけで、実際にApple製品のハードを設計して「モノ」を創っているのは超高学歴の技術者達ですよ。彼だけでは何もできません。勘違いしないように。とまあ長くなるのでやめますが、ゆとり教育で学力低下が証明されている現況において、未だこのような世迷い事な方針を打ち出すことには驚きました。
・もしアメリカ的な人材を欲しているならば、「国語」の指導要領の改訂が必要。日本ほど言語教育、つまり書き方、話し方、伝え方の練習をしない先進国はないらしい。日本の国語は、ひらがなカタカナ漢字を覚えて、本を読んで内容(作者の言いたいこと)を読み取ることだけ。これは日本的美徳の「空気を読む」「行間を読む」練習なのかな?アメリカでは、言いたいことを的確に「文章化する」という授業が必修となている。文章をきちんと書くということが技術能力として強く認識されており、大学にはその方法論を専門に教える課程が存在するのだ。日本もこういう授業を導入してこそ、はじめて小論文やコミュ力?による採点が許されるのではないだろうか?今のままではただの「個性の選別」にしかならないだろう。これは個人の生まれ持った性格を他人が判定し一方的にクラス化することであり、左翼的な言い方だが甚だしい人権侵害になるのではないか?
・最後に。教育再生実行会議の議長は首相なわけだが、幼稚園から大学まで一貫校でエスカレータしか経験してない日本最大の世襲議員にこのようなこと言われてもね。最近「ハーバードロースクール」という本を読んだ。筆者は「推定無罪」を記した人で、最初はスタンフォードの講師(作文技術)だったのだが、30前に一念発起し世界最高峰のハーバードに入学した(このあたりは書き飛ばしているが、かなり頭のいい人なのは明らか)。その彼が大学1年目に体験した授業や予習厳しさと先生や生徒のたぐいまれない素質と個性について綿密に記している。分厚い本だが、さすが作文の先生だっただけあり、かなり読ませる。これを読むと「アメリカの最高峰ってこんなに凄いのか、こりゃかなわんわ」と思い知らされる。まあ同じことは私も留学のときも強く思い知らされたが。オバマ大統領ってこのハーバードロースクールの卒業生であり、さらに学年の中で一握りの優秀な人間だけが選ばれる学内法学紀要の編集長だったんだよな。上の本の中によると、大半の学生はこの紀要の編集委員になることを目指すのだそうだ、というのはこの編集員になれるかならないかで、将来大学教授になれるかならないかが決まってしまうのだそうだ。だから1年目から個人で仲間で必死に切磋琢磨するのだそうだ。オバマ大統領は編集長だったのだから、エリート中のさらにエリートということになる。やはりただものではないのだ。黒人というマイノリティーで世襲というバックグラウンドもなく、若年で大統領となれたのは、氷室京介ではないが「俺の実力だと思います」。そしてこのような才能ある人をきちんと見出して前線に送り出すシステムがあるというのがアメリカの強みなんだなと思います。(ブッシュ息子のような世襲例も多々ありますが。)

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