Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

映画の中での邂逅

2023-11-26 | Weblog
現在の映画にろくなものがないので、もっぱら過去の作品ばかり観ている。映画に限らず文学も音楽も美術も傑作がありすぎて自分の人生の中でどこまで鑑賞できるのか、そんなことを最近考える。先日はグレゴリー・ペックの映画を幾つか見た。ひとつは「アラベスク」。巻き込まれ系スパイ映画であり、ヒッチコックの「北北西」に似る。次は「白鯨」。ペックはエイハブ船長の役である。インテリな役が多いペックだが、実は狂人役も多く演じている。しかしどう大目に見ても、クジラに異常執着する艦長にしては、ペックは声も顔も綺麗すぎる(無精髭を生やしても)。人間のもつ本質である「品」には抗えないものだ。逆にいえばその人の品は飾っても拭えないというわけでもある。とはいえ、白鯨に馬乗りになって銛をふるい続ける姿は圧巻である(そしてそのまま鯨にくくりつけられて絶命)。1956年の作品だが当時の特撮力を考えたら海洋モンスターものとしても相当な快作である。怒りで荒れ狂った白鯨は、エイハブを側面に括り付けたまま船員を虐殺し、捕鯨船を渦の中に引き込み圧壊させて去っていくのだ。ちなみに脚本はレイ・ブラッドベリである。そして「アラバマ物語」。原題はTo kill a Mockingbird。本作はペックがオスカーを受賞した代表作であり、ハリウッド史上でもアメリカの良心的映画の筆頭といえる名作である。1962年の白黒の作品。内容はあちこちに記載されているので控えるが、家族愛、隣人愛、人種差別、貧富の差、虐待、正義などが複雑絡み合っている。もっと早い年齢で見ておけばよかった。
この映画の中で意外な俳優を数人見つけた。まずこの映画のキーマンである引きこもりの隣人ブー。なんとゴッドファーザーでトムを演じたロバート・デュヴァルだった(写真)。この作品がスクリーンデビューとのことだ。セリフはなくただ立っているだけなのだが、存在感ありまくりだ。少し前にカーク・ダグラス主演の「フォーリング・ダウン」の中でも彼が出演しているのを見つけて喜んだ。デュヴァルはアカデミー主演男優賞受賞という実力派俳優なのだが、オスカーを受賞した「テンダー・マーシー」は日本未公開であったそうだ(DVDはある)。なぜだ?
その他、ペックを陰ながら助けてくれる保安官役の人、どこかで見たような・・と調べてみたら、スタートレック(TVシリーズ)のパイロット版(かつ第3話)に出演していたDrパイパーであった。Drパイパーはこの回だけで、あとはディフォーリスト・ケリー演じるDrマッコイに交代する。
さらには冤罪で裁かれる黒人として裁判所で迫真の告白をしたブロック・ピーターズは、同じくスター・トレック(映画)のカートライト司令官(最後には裏切りで逮捕されてしまう)の若い頃であった。
もっとさらに、ペックの同僚の弁護士は、これまたスター・トレック(TVシリーズ)で、精神を病み強迫観念に蝕まれたまま宇宙のゴミ掃除機のような巨大な破壊機に無謀な戦いを挑むデッカー艦長であった。

映画を見ているとこういう楽しみもある。



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