Wilhelm-Wilhelm Mk2

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徒然日記 クーレンカンプ

2020-12-04 | Weblog
201203THr
実はフルヴェン/クーレンカンプのシベコンのCDを持っていないことに気づく。クーレンカンプはわざわざフィンランドまで出向き、シベリウス本人に演奏のアドヴァイスを受けたという有名な演奏なんだが、なぜか円盤でなかった(おかしい、協会版に入っているのか?)。戦時中ライブは、グラモフォンの旧シリーズで全て揃えていたと錯覚していたが、入っていないんだよね。東芝のユニコーン盤に入っていたようだ。数年前にベルリンフィルが戦時中の録音をSACDにしてボックスで出していたが、そちらには収録されている(高いから買わない。30000円)。現在、たいていの録音はYoutubeで視聴できるので、もう円盤を買う必要はないのだが、30年以上のファンなのでコレクションとして持っておこうかなとネットを物色してみた。オークションでも再販でも、入手は簡単そうだが、ここでYoutubeで聞いたクーレンカンプの演奏自体に非常に興味というか、久しぶりに古い時代の演奏に触れて、今の即物的・曲芸指向の演奏にはない味わいと深い音楽性の虜になってしまった。ゲオルグ・クーレンカンプは当時のドイツ・バイオリン界の頂点であったわけで、ナチス政権でもナチスに迎合せず、ドイツに残りつつもユダヤ人音楽家をかばい最終的にはスイスに移住するあたり、フルトヴェングラーと同じ姿勢であったわけである。フルヴェンの盟友は、ピアノならフィッシャー、バイオリンならクーレンカンプというわけである(この2人は室内楽でもトリオを組んでいた)。クーレンカンプは病弱だったようで、ルツェルンでカール・フレッシュの後任をつとめながら50歳の若さで病没するのだ・・。彼らの録音は、作曲家たちが活躍していた19世紀の音楽演奏がいかなるものだったかを、ぎりぎり伝えてくれる貴重な遺産なのである。今の時代、このような演奏を望むことは酷なことであることはわかるが、だからといって、つまらない演奏に妥協して金を払ってやる必要はない。庶民には時間も金もそこまで余裕はないのである。