Wilhelm-Wilhelm Mk2

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徒然:雷蔵コルトー

2010-03-17 | Weblog
更新滞ってすいません。
最近の文化的刺激なども含めて。

1)コルトー:ショパン練習曲集(ナクソス)。コルトーの万華鏡のような音色がたまらない。ミスタッチはあるものの、それを恐れての音楽の停滞や誤魔化しがない。いい音楽、いい演奏だなとしみじみ感じさせる古きよき時代の名演奏。コルトーはワグネリアンでナチス寄りだったようで、そのため戦後はフランスではスポイルされてしまったようだ。戦前にはフルヴェンと共演したことも勿論ある。(録音はないが)。SPから起こした音質も問題なし。ナクソスの復刻シリーズは素晴らしい。

2)シベリウスピアノ曲集:奥さんのセレクト。シベリウスにピアノ作品があるなんて知らなかった。若い頃から晩年に至るまでコツコツと作曲していたようで、どうしても考えすぎてしまう管弦楽曲とは正反対の素直なシベリウスの姿がここにある。浪漫的で北欧的で、木訥でお洒落でもある。

3)クライバーン:チャイコとラフマ2。チャイココンクール優勝直後の全盛期(1960年頃)の録音。素晴らしい。審査員だったリヒテルが、クライバーンにだけ満点をつけ、残りはゼロにしたという逸話があるが、確かにかなりの実力派の演奏だ。決してフェイクではなかったことがわかる。といっても、リヒテルやホロヴィッツなんかとは比べものにはならないが。結局クライバーンは、その後の多忙によって心身ともに疲弊してしまい、フェイドアウトしてしまうのだが、今でもこういうピアニストは多いのではないだろうか?戦前のように情報も移動も遅かった時代のほうが演奏家は自分をゆっくりと磨けたのはないだろうか?スピードが芸術を殺す・・・・。ブーニンなんかもマスコミが潰したと言えなくもない・・・。

4)そのブーニン:ショパン協奏曲2番(ライブ)を聴く。ちょっと硬めで意志を感じさせる音質が若き頃に作曲されたこの協奏曲にはまっている。ライブとは思えない完成度の高い演奏(拍手入り)。指揮は来期からウィーンオペラの監督となるウェルザーメスト。今のブーニンは欧州できちんど活動しているのだろうか?なんか録音も日本でのものばっかりだし。

5)ブーニンのシューマン:グラモフォン時代の録音。廃盤なのでオークションで競り落とした。なぜEMIに移ったのだろうか?この時代のクオリティ(とマネージメント)を維持していたら全然違っていただろうに。演奏はブーニンらしい自由解釈のものと堅苦しさのない浪漫的な演奏。なにが正しいシューマンか知らないが、こういう演奏も好きだ。バックハウスとは正反対ではあるが。(繰り返すがバックハウスは決して即物的演奏家ではない。どちらかというと浪漫的)音質クリア。

6)市川雷蔵「忍びの者」:映画祭に行けなかったのでレンタルビデオで観る。ただの忍者映画を超えた複雑な伏線とストーリー展開で観させる。配役も藤村志保や伊藤雄之介など名優ばかりで素晴らしい。1人の頭領が変相を用いて2つの忍者集団を支配し、互いに競い合わせていたというのが面白かった。雷蔵の演じた忍者の名は「石川五右衛門」で、抜け忍の責を問われて盗賊をする(忍者の資金となる)。映画だけの設定かと思ったが、五右衛門が忍者だったという説は実際にあるらしい。面白い。

7)市川雷蔵「ある殺し屋」:雷蔵の現代劇の傑作。ニヒルな現代の眠狂四郎というところか。まあ無頼さはないが・・・。雷蔵はメイクを施した時代劇も勿論よいが、髪をべったり7:3にわけた銀行マンのようなスタイルも実に格好いい。以前に書いたが準主役を成田三樹雄氏が演じている。この二人のコンビ、雷蔵が長生きしていたら(享年37歳)もっと観られたかもしれない。