Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

Disney Concert Hall (3)

2004-10-21 | Weblog
前の書き込みで、ベルリンフィルに似ていると書いたが(設計思想は全く違う)、内部の印象も結構似ていると感じた。まず複雑な迷路のような階段。案内なしでは、自分がどこのドアから入っていいのか予想もつかない。外壁が複雑だから、それにあわせて内装も複雑なのだろうが、サントリーのように上下左右だけで空間把握ができる構造の方が好きだなあ。まあ、私の席はいわゆる合唱席で、ステージの裏手にあたるので、たどり着くのは結構面倒くさかった。客席全体としては、芸劇に似ているなという印象を受けた。さて、肝心の演奏だが、まず登場してきたPeter Serkinはなかなかのナイスミドルだった。細身でスラリとしており、眼鏡姿はちょっとブーニンを思い出させた(遠目だからだろうが)プログラムは、JosquinのAve christe, WebernのVariations(これらは近現代曲)、そしてBachのChorale、MozartのSonata K310で前半終了。私は現代曲はよくわかないが(Wevernあたりはまだ聴けるほう)、どうも息子ゼルキンは現代曲のほうが得意なようだ。Mozartはミスが少々目立った。それに私の席のせいもあるだろうが、どうも響きすぎる。特に早い楽章は音が潰れて(こもって)非常に聴きずらかった。ペダルを使いすぎてんじゃないのか?後半はさらに時代が古くなって、Bull, Dowland,Byrdという初めて名前を聴く古い作曲家の小曲の後に、MozartのロマンチックなRondo K511、そしてBachのItalian Concertoで締めだったのだが、前半より響き過ぎはいくらか改善されたものの、やはりイタリア協奏曲のような曲では細部は全くわからなかった。他の席ではどう聞こえたのかはわからないが、陽気なアメリカ人はなんでもブラボーするので、演奏会自体は大きく盛り上がった。(各楽章間で拍手を入れようとする客がいたのには閉口したが)そしてアンコールは、何か強烈に鍵盤を跳躍しまくる現代曲(奏者は紹介していたが聞こえなかった)だった。誰の曲かはしらないが、当日の演奏会でゼルキンが一番生き生きとして弾いていたのは確かだった。解説によれば、ゼルキンは最近の作曲家の初演も多く手掛けているようだ。次に彼の演奏会を聴く時は、現代物をやるときにしよう。取りあえず演奏会が終わった時点で、私は演奏会に来たのは正解だったと思ったし、Peter Serkinという新たな興味の対称ができたのは幸運だと感じた。緩除楽章では彼の音に暖かみを十分に感じられたし、誠実さも感じられた。ただ鳥肌はたたなかったな。しかし、バッハにしろモーツァルトにしろ、恐らくプロのピアニストならかなり幼少の頃から親しんでいるはずだが、それでも曲のポテンシャルを超えた次元での「聞かせる」演奏にするというのは難しいのだなと痛感した。ちなみに私の好きなモーツァルトのソナタは勿論、Wilhelm Backhausのものである。(結局これで締めですか)

Disney Concert Hall (2)

2004-10-21 | Weblog
8月9月はこのコンサートだけを心の支えにして実験に励んでいたといってもいい。(冗談です)しかし、ホテルも電車も予約し準備万端と思っていた矢先、なんとバレンボイムがベルリンの自宅で転んで、アメリカツアーは全部キャンセルになったという衝撃のニュースが!!なんてことだ、酷過ぎるぞ。代役としてPeter Serkinが弾くと言うが、オヤジの演奏はよく聴いたが、息子のことはよく知らん。といっても、今から演奏会からホテルまで全てキャンセルというのは面倒くさいし、折角だから新しいDisney Hallだけでも楽しんでこよう。息子ゼルキンもいいピアニストかもしれないじゃないか。と半分やる気レスながらも、学校を休んで(さぼって)ロスに行く事にしたのだった。日頃の心がけが悪いせいか当日は滅多に降らない雨に祟られ、電車は遅れるはで行くだけでくたびれてしまった。しかし、ロスの地下鉄を降りて視界に入ったDisney Concert Hallの第一印象は、
「銀色のベルリンフィルハーモニー!」
真似はいかんぞ、真似は。(あとで設計したFrank Gehryの本を読んで。全く的外れな意見だと反省しました。)取りあえず、ホテルに入り仮眠をとり、夕食をすませていざ演奏会へ。

Disney Concert Hall (1)

2004-10-21 | Weblog
私は演奏会を聴きに行くのが好きだ。学生時代オーケストラをしていたこともあり、東京にいた頃は、その日の実験が上手く行かないと当日券を仕入れて、憂さ払しに夕方からコンサートに出かけたものだった(主にサントリー)。そんな贅沢三昧な学生生活を送っていた私にとって、ここアメリカ西海岸での生活は音楽的には「牢獄」に等しい。といっても、私の住んでいる町は結構豊かなので、町の管弦楽団もあれば大きな移動公演も来るのだが、なにより演奏会の絶対数が少ない。それに生のコンサートは良いホールで聴きたい(休憩のワイン飲みも大好き)。私の町から一番近い都市はロスなのだが、近いといっても車で2時間以上、車の持っていない私は電車でいくしかなく(3時間)、夜の演奏会だと確実に宿泊せねばならない。そんなこんなで演奏会から遠ざかっていた私だが、帰国も見えてきた夏あたりに、一念発起してロスへ演奏会へ行こうと思いたった。そして、ロスフィルのHPを見ているとなんとDaniel Barenboim(バレンボイム)のピアノリサイタルが、ロスの新しいコンサートホールDisney Concert Hallで有ると言うではないか!それもプログラムは「平均率」と「熱情」! ベートーヴェン大好きで、バレンボイムのファンであった私は、これは天恵とすぐにチケットを申し込もうとした。しかし、こちらはまずシリーズの通しチケット(4枚)を前売りし、シングルチケットは1ヵ月前まで売らないという。もし、そのシングルチケット発売を待っていたら、完売してしまうかもしれない。ここは残り3枚は後で売るなり処理するとして、取りあえず押さえるしか無い!と結局LA phil subscriber(会員みたいなもの)になり、無事チケットは手に入れたのだった。(写真はDisney Hall内部)