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ヴィルヘルム・ハンマースホイ展

2008-12-09 | ア-トな話し
国立西洋美術館 
2008年9月30日(火)~12月7日(日)

2008年6月28日から9月7日まで先行してロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(RAA)で開催されていた。

行きたかった展覧会ですが、ようやく最終日に行って来ました。

「ハンマースホイて誰・・・・」

日本にはなじみの薄い画家です。
ゆっくり鑑賞してこようと思ったのですが、最終日ということもあるのか、会場はなんと超満員。切符も並んで買いました。並んでた人が「入場制限しているのですか」と係員に聞くほどです。


19世紀デンマークを代表する画家。
1864年コペンハーゲンに生まれ、同市の美術アカデミーで学んだ後、仲間と分離派を設立し、アカデミーを中心とする美術界とは一線を画して活動する革新的な画家として知られていました。生前、ヨーロッパで高い評価を受けた。しかし没後は、急速にその名は忘れ去られていきました。

主催者の宣伝文句では、
「日本の展覧会史上、重要なものとして記憶されることは間違いないでしょう。」と自信の程を示しています。

「静かなる詩情」がサブタイトルです。


まずは、会場入り口にハンマースホイのデビュー作とも言える作品が展示されている。



≪若い女性の肖像、画家の妹アナ・ハンマースホイ≫

当時の時流に乗らなかったこの作品は、展覧会では落選したようです。
落ち着いた色彩、落ち着いた雰囲気の女性。
一気に「静かなる詩情」ハンマースホイの世界に導かれます。
デビュー作にして代表作です。





≪背を向けた若い女性のいる室内≫

ポスターにもなっている典型的な作品です。
モデルは奥さんのイーダ。
自分の家の中の部屋で奥さんの後ろ姿の作品。
いくつあったかな?。  とにかくたくさんあります。
腰のあたりが、なんとなく不安定な気がするのですが、それが絵に静かな動きをだしているのかな?
そして、ピアノの上に置かれた、ロイヤルコペンハーゲン社製のパンチボウル。
これも絵に度々登場します。会場には実物も置いてました(絵に使われたものではないけれど.....)
この絵では、なぜか蓋がずれています。

何気ない日常のヒトコマ。デジカメでも持って室内のスナップ写真を撮るかのような気軽さですが絵になっています。

寂しいのではなく、「静か」なのですね。




《室内、ストランゲーゼ30番地》

ドアは開放されているのに、イーダの後姿は何故か寂しそう。
作者は、何を訴えようとしているのか?

"ストランゲーゼ30番地"
彼が住んでた住居ですが、絵のタイトルに度々出てきます。
会場で作品を見た人には、おなじみの番地です。
絵から推測するに、中庭を別に4室ほどが描かれています。



《室内、ピアノと黒いドレスの女性、ストランゲーゼー30番地》

これにフェルメールを感じませんか?
左側からの光線。
いい感じです。
影に注目です。
普通は、左側から光線なので影は定規で測ったように、みんな右に長くなるのです。
でも、良く観察すると、本当は絵のようにきれいでなく。
こんな影になるのです。
すごい観察力です。そして、これも後姿。




《白い扉、あるいは開いた扉》


そして、誰も居なくなった・・・・・

小説のタイトルみたいですが。
いくつかの風景画には、見事に、人は誰も描かれていません。

誰も居ないから美しいのです。

美しくするために誰も居ないのかも。


二度と見る機会がない作品かも。

心に、いつまでも残る、展覧会です。
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