無意識日記
宇多田光 word:i_
 



ちょいと与太話から。

NHKの紅白歌合戦、昨年(先週)も例年通り楽しませて貰ったが、どうにもその在り方が時代にそぐわないのではないかという空気が毎年濃くなっている。多様性の時代だというのに「紅白」という男女に分けた布陣は前時代的だという指摘や、折角音楽の祭典なのに「合戦」と称して勝ち負けを決めなくてはいけないのかという疑問。この2つがその最たるものだろう。

性の多様性に関しては、「特別企画枠」を増やすことで対応しているようだ。氷川きよしなんかがそうですわね。最近吹っ切れてていい感じと思ったら休養に入ったのね。まぁそれはいいんだけど、このまま特別企画枠が増えていって紅白という対立軸は薄れていくかもしれないね。

「合戦」の部分については、いいこと言う人が居たので丸々引用しておこう。


***** *****


「音楽フェスというのは、こんなに色々なたくさんの人達が一堂に介し、その全員が楽しくて、全員が勝者である。そんな場所他にはどこにもない。スポーツイベントにも、大勢の人達が集まるけど、でも誰か必ず負ける。」
https://rockinon.com/blog/nakamura/203657


***** *****


と、こういうことだ。いいこと言うねぇ。

で。音楽の祭典の「敗者がいない」という美点を捨てて「歌合戦」をするなんて勿体ない、そう思ってしまうわけですよ。ついつい。


この点、ひとつ擁護させて欲しい。なぜNHKは紅白歌合戦を「合戦」形式にしているのか。そこのところをちょっと述べてみたい。

理由は単純。歌はひとつひとつバラバラだからだ。例えばMISIAの歌う歌詞と福山雅治の歌う歌詞の間には何の関連もない。誰かが1曲歌って、それとは全く別に、次の歌を誰かが歌う。それがテレビの歌番組ってもんだ。

だが紅白歌合戦は2時間半或いは4時間半の長丁場。確かに大晦日の慌ただしい時間帯につまみ食いをするにはもってこいだ。いつチャンネルを合わせてもそこだけで楽しめる。だが、裏を返せばいつチャンネルを変えられても仕方がない。歌ひとつひとつがバラバラなのだから、ずっと観ている理由がないのだ。好きな歌だけ選んで観ればいい。

これが、2チーム対抗で評価されていくとなると様子が変わる。番組を観ながら、それぞれの陣営の歌の出来を評価して、今どちらが優勢なのか推測しながら視聴する楽しみが加わるのだ。長尺の番組に縦糸が1本通るのである。それによって、然程興味の無かった歌手でも視聴する動機が生まれる。番組全体に「流れ」が出来上がるのだ。

ミュージカルやオペラならひとつのストーリーに沿って歌を楽しめるけれども、それぞれにバラバラな出自のアーティストたちが歌を披露していく番組に流れを与える最も単純で強力な方法が「対抗戦」即ち「歌合戦」なのだった。歌で合戦は確かに物騒なのだが、勝負事にすることで番組に流れが、ストーリーが出来上がっていく。これが2時間半とか4時間半という長尺のテレビ番組には非常に大きいのだった。なので合戦形式は令和の今になってもやめられないのである。(たぶん)


これ、ライブコンサートでも同じなのよね。約2時間の選曲と曲順で、どんなストーリーを見せるか。前回紹介したように、宇多田ヒカルは『First Love』という「宇多田ヒカル物語の中で中心的な存在となる楽曲」の後に何を歌うかで曲順にメッセージ性を与え、コンサート全体に流れとストーリーを生じさせている。勿論他の選曲にも様々な意味を付与しているのだが、『Fitst Love』は最も多くの観客が宇多田ヒカル物語の中で大きな意義を感じる楽曲なので、いちばんスポットがあたるようになっている。

そして昨年から今年に掛けて、更に『First Love』の存在は大きくなった。今後コンサートでヒカルが『First Love』の次に歌う曲を選ぶことが一層重い意味をもつようになったと言ってもいい。それは同時に、2時間という長尺のコンサートに持たせるストーリーとメッセージをより強烈に演出出来るようになることも意味する。リバイバル・ヒットがツアーに与える影響はデカい。今年以降の楽しみの1つになりそうだねこのポイントは。

その前に2週間後の『40代はいろいろ♫』で『First Love』を歌うかどうか、もし歌ったらその後に何か歌うかどうかも、興味深いところですな。普段のツアーなら『First Love』は絶対に歌うだろうが、果たして無料誕生日配信イベントではどうでしょうね? 嗚呼、待ち切れませんな四十路初日のヒカルさん!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




『Flavor Of Life』(今回は総てバラード・バージョンの話)発表から16年か。昨年は『First Love』が大変話題になったが、そこから8年後に発表された同曲のブレイクなくして『First Love』のリバイバルもなかっただろう重要な1曲である。「宇多田ヒカル中興の祖」とはよく言ったものだ(…誰が言ったの?)。


ライブで『First Love』の次に歌う曲、というのは非常に示唆に富んでいる。『Laughter in the Dark Tour 2018』ではその任は『初恋』で、意図は明らかだった。その前、『WILD LIFE 2010』でそのポジションに据えられたのがこの『Flavor Of Life』だった。なかなか出来ることではないですよ同じバラードで『First Love』の後だなんて。


なおその他のライブも含めて『First Love』の後に歌われた曲を列挙すると以下。


『Movin' on without you』@Luv Live 1999
『Wait & See~リスク』@Bohemian Summer 2000
『Addicted To You』@MTV UNPLUGGED 2001
『Deep River』@ヒカルの5 2004
『Devil Inside』@UTADA UNITED 2006
『Can You Keep A Secret?』@Utada In The Flesh 2010
『Flavor Of Life』@WILD LIFE 2010
『初恋』@Laughter in the Dark Tour 2018


これらは明確に2つの傾向に分かれる。

『Movin' on withou you』
『Wait & See ~リスク』『Addicted To You』
『Devil Inside』
『Can You Keep A Secret?』

の5曲は「バラードタイムから仕切り直してライブに勢いをつけていく楽曲」であり、いずれもシングル曲だ。特に宇多田名義の4曲はいずれもミリオンセラーであり、しっとりとした『First Love』で一旦ピークを迎えた雰囲気を知名度とテンポ感で切り替えていく為の選曲であった。一方で、

『Deep River』
『Flavor Of Life』
『初恋』

の3曲は、いずれもその時点での最新作からのバラード・ナンバーだ。誰もが『First Love』でコンサートのハイライトを迎えたと思った所に「同じバラードでももっと自信のある曲が出来たよ」とヒカルが言いたかった楽曲たちなのである。『First Love』の威光の凄さは昨年皆で再確認したかとは思うが、アーティストとしてヒカルはそれ以降もそれ以上の自信作を作り上げ続け、それを真っ向から提示し続けてきたのだ。天下を取りながら全く天晴れな進取性極まる気性と言えるだろう。

そういう意味では、昨年のNetflix「First Love 初恋」のブレイクでヒカルが動向を気にしていたのは、もしかしたら『First Love』以上に『初恋』の方だったのかもしれないね。でもま、まだリリースから3年半しか経っていないのでリバイバルというタイミングでもないので、こういう感じになるのも予想通りだったかもしれないわ。それ以上に『First Love』の大ヒットぶりに吃驚しているのだろうかな。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )




願望を素直に吐露しよう。以前も述べたように、『40代はいろいろ♫』で『初恋(A Cappella Mix)』を360Rフル活用で生パフォーマンスして欲しい。聴いたら卒倒しちゃって1月19日119に電話する羽目になるかもしれないけどな!

兎に角アナログ盤で聴ける『初恋(A Cappella Mix)』が圧倒的に凄いのだ。あれ本当に何なんだ。いや勿論、『初恋 (2022 Remastering) -Dolby Atomos-』もとんでもない。360Rでどちらを選ぶべきか大変悩ましい。なので現実的に、払うギャラが少なくて済むアカペラの方でどうだろうかと。

ただ、ヒカルさん、ここに到るまで頑なに生声のバックコーラス隊を起用してきてないのよね。前に触れた時は私シナジー・コーラスがいいとも言ったが彼女たちだけだと『I need you』しか歌えないやんね。日本語部分のバックコーラスもあるんだよ『初恋』は。

そこが常々ネックだとの旨を照實さんが仰っていた。つまり、ツアーで宇多田ヒカルのバックコーラスを務めるならば、日本語部分も英語部分もメイン・ヴォーカルのヒカルの正確な発音に合わせられる人間でないといけない。だが日本語と英語両方母語並みの発音を持つバイリンガルで宇多田ヒカルの歌唱力についてこれるシンガーを何人も確保するのは現実的ではない。かといって日本語部分と英語部分で別々に人員を確保しようとすればギャラが2倍必要で、これまた現実的ではない。結局、ヒカルの録音バックコーラスを使うしかないという結論だった。

だが今回の『40代はいろいろ♫』は1回限りのパフォーマンスだ。ソニーが360Rの威力を知らしめる為には『初恋(A Cappella Mix)』若しくは『初恋(Dolby Atomos)』をヒカルが歌えば、大変な訴求力を持つことになるだろう。システムが馬鹿売れするのではないか。だったらソニーが1回分のギャラをスポンサードして欲しい。

ソニーは今回の好機を逃したくないはずだ。宇多田ヒカルがハイレゾチャートで強いのは周知の事実。オーディオ・ファンが音の良さを確認するときにまず購入するのが宇多田ヒカルの音源だったりする。オーディオ記事等でも試聴音源として取り上げられる機会が何度もあった。新しいシステムのアピールには宇多田ヒカルのように知名度と音楽的クォリティの両方を兼ね備えたアーティストこそがうってつけなのだ。だとしたらこのタイミングで『初恋』をアピールするのがいいだろう。ソニー頑張れ。


そして正直言って、こんなにNetflixの「First Love 初恋」が長いスパンで話題になるとは思っていなかった。己の不明を恥じたいところだが、ともあれ、2023年に入ってもドラマの視聴数は衰えず、楽曲の『First Love』も各チャートを席巻し続けている。上に居るのがOfficial髭男dismと米津玄師だけとかいう風景には凄いものがある。この状況下でなら、1月19日時点で『First Love』と『初恋』をパフォーマンスしても遅きに失した感は無さそうだ。寧ろ満を持してというタイミングですらあるだろう。いやはや、風が吹いてるね。くずじゃないけれど。

今回ステージ・クラウドを使うということで、『20代はイケイケ!』や『30代はほどほど(はぁと)』に較べてもトークよりパフォーマンス重視ではないかという予感もある。上記2曲に加えてカバー曲などを歌えばかなりの満足感(というか最早トリップ感になる気がするが)が得られるだろう。欲を言えば『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』なんかの生パフォーマンスも観てみたいとかあるんだがそんなん言い始めたらキリが無い。フル尺2時間のコンサートを要求してしまいそうだ。が、今回は1年前の『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』とは異なり無料配信。なので生パフォーマンスは2~3曲というのが限界ではないかな。そこの選曲がどうなるか、というときに『初恋』を是非というのが、新年1発目の願望なのでした。まる。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




さて2023年。宇多田ヒカルの(宇多田光さんはまた別として)進路として考えられるのは大きく分けて3つある。

1.ツアー
2.新曲
3.休養

1のツアーに関してはファン待望ですわね。前回のツアーから5年が経とうとしているのだから待たれて当然なんですが今までのツアーのインターバルは6年3年8年…いや6年と12年でもいいんだけど、この実積からすればまだ引っ張る可能性も残されている。となればまた今年も新曲を連発して来年再来年にもう1枚新譜を出してからツアーというのもありえる。それが2だわね。

子育て中なだけに3も有り得る。こどもの成長は予測不能で、どの段階で環境を変えるのがベターなのかもわからない。ツアーとなると数ヶ月単位で家を空ける訳だし、まぁ例えばこどもの夏休みにあわせて1ヶ月程度のツアーを、みたいなことも有り得るし、これは予測不能項目といっていいだろう。どうなるかわからん。

そういうのも含めつつ、それとはまた別に、いつでも休んで欲しいというのはある。そもそも資産的には息子一人大人にして送り出す程度はもう携えているだろうから喫緊で資金調達に躍起になる立場でもなく、今働いてるのは第一に「人の親が無職はマズい」という息子に対する人としての親としての矜恃なのだ。(本人は昨年"Wow I'm gonna be a parent ! I need to work!" と言っている。「わぁ!私親になるんだから働かなきゃ!」ってね。笑いながらだけど)

なので、子の理解が得られればそこまで躍起になって働かなくてもいい。そこは働き方改革の時代、無理はしない主義をやっと自然体で貫けることだろう。

とはいえ、ファンの方はそこで妥協し過ぎるのもよくなく。「働くのと休むのと、どっちでもいいな、どっちにしようかな?」となったときに「新曲は?ツアーは?」という声が大きいかどうかは判断材料になる筈だ。そこは素直に欲望と願望を伝えておいた方がいいだろうね。ツアーの昨今のチケット代高騰を鑑みると「観てやるからおらが街まで来やがれや」くらいのデカい態度でもいいかもしれない。

そこらへん、考えなくちゃいけないのは、ツアーをする場所・地域・国がどうなるかわからないからだ。ぶっちゃけ取り合いになるだろう。Netflixドラマ「First Love 初恋」のアジア圏の大ヒットをみると、アジアでの待望論が強くなればアジアツアーを挙行するだろうし、『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』が欧州で当たればクラブツアーなんかも有り得るわね。日本はどうせツアーしてくれるだろうと高を括るのは危ういのだ。上述のように、こどもの夏休みを利用してみたいな話だとどうしたって時間が限られちゃうからね。

夏休みを利用するといえば、24年前、1999年がまさにそれでね。9月進級の学校に通っていたヒカルは学期が終わった1999年6月中頃から地上波テレビに出演し、1999年8月24日武道館での「ナチュラルブリーズ・コンサート」まで約2ヶ月間露出を続けた。ま、そのあとすぐ11月にもテレビには出てるんだけど、自分の夏休みに合わせてテレビに出ていた24年前と、息子の夏休みに合わせて仕事をする今。時間の流れを感じさせて恐ろしい。…殆ど老けてないけどな見た目は!

という感じなので、ツアーを今夏に行うとなればブッキングは済んでるのだろうけど、取り敢えず現時点でのファン目線からは事態は流動的にみえている。そんな中で2週間後に『40代はいろいろ♫』が決まっているのは堪らなく心強いわ。まずはそれを全力で楽しむとこからですわね今年の私たちは。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )


   次ページ »