無意識日記
宇多田光 word:i_
 



以前のメッセ(PC/携帯)でアイヌ語の話が出たとき、Wikipediaで「キムンカムイ - (山の神)ヒグマ」という記述を見つけていたのだが、「イヨマンテ - 熊送り(の儀式)」というヤツの内容がやや酷な気がしたのでblogでは取り上げなかった。しかし今回、更に「熊=神」を強調されたので改めて調べてみることにした。昔だったら休日に図書館に行ってこないとわからなかった事が家で寝転びながら知れるって、いいねぇ。

日本語のページにはめぼしいものはなかったが、英語のWikipediaに「Bear worship」という頁を発見。字の如く「熊崇拝」の話だ。これに対応する英単語も存在し、「Arctolatry」というらしい。arctolatry.orgなるウェブサイトまで在る。そこの記述によると、「Arctolatry comes from the Greek roots αρκτο? [arktos] meaning “bear” and λατρεια [latreia] which means “service” or “worship.” As such, the word means “the worship or reverence of bears.”」、即ち「アークトラトリィ(Arctolatry)とは、ギリシア語で熊を意味する“アークトス”と礼拝や崇拝を意味する“ラトレイア”から来ている。つまり、この語は「熊を尊崇・崇拝すること」という意味である。」ということらしい。

同ページのニュース欄によると、つい最近(2010/6/25付け)「昨年9月にルーマニアで3万年以上前のものとみられる洞窟壁画が発見された」というニュースがあったらしく、そこに「熊の頭が二つ描かれていた」ところに、同ページは食いついている。まぁ、他の動物も描かれていたようで、特にニュースになっているのはサイの絵みたいなのだが(コメント欄で「これ、みんなサイっつってるけど、鼻長くね?マンモスじゃね?」というツッコミが入っていた。確かに「サイとされる写真(こちらからの引用)」を見るとそのようにみえる。3万年前と最近はいえ一応古生物なので、今後検討されるだろう。)、寧ろ食いつくべきは「A rough idea of their age might be gleaned by radiocarbon dating the numerous bear bones found on the floor of the cave.」の箇所、つまり「洞窟の床面に幾つかの熊の骨(恐らく化石)が発見され、放射性炭素年代測定法による年代の特定がまたれる」って方じゃないの、と思う(追記:と思ってたんだけど、今リンク先みたらバッチリ太字で書いてあったw 見落としていたか、書き足されたか)。まぁ、同ページはなんとなくヘンな感じなので、これから充実していくんじゃないかな。あ、ちなみに、この洞窟自体は30年以上前に発見されていたけど、水がたまっていたり入り組んでいたりでつい最近まで奥の方までなかなか調査できなくって昨年9月の発見になったらしいです。大変だねぇ研究者って。

脱線した。兎に角、3万年前の中欧の洞窟で暮らしていた人が熊の絵を描き、熊の肉や皮や骨を利用していたことは確かなようだ。更に、先述のWikipediaには「Bear worship may have been practiced as far back as the Middle paleolithic period amongst Neanderthal societies.」、つまり「熊を信仰する宗教はネアンデルタール人の社会にまで遡ることができる」という記述すらある。ネアンデルタールの存在範囲は年代・地域とも幅広いので、元文献をあたらないと何万年位前のどこの話かわかんないけど。

いちおう、そのWikipediaの冒頭部分だけでも訳しておこう。

Bear worship (also known as the Bear Cult or Arctolatry) is the religious practice of the worshiping of bears found in many North American and North Eurasian ethnic circumpolar religions such as the Sami, Nivkhs, Ainu,[1] and pre-Christian Finns. There are also a number of deities from Celtic Gaul and Britain associated with the bear and the bear is featured on many totems throughout northern cultures that carve them. Bear worship may have been practiced as far back as the Middle paleolithic period amongst Neanderthal societies.(Wunn, 2000, p. 434-435)

熊崇拝(熊カルト、あるいはアークトラトリィ)は、北アメリカや北ユーラシアの極地付近(筆者註:恐らく、北極星をのぞむ、という程度の意味かなぁ)の民族(Sami, Nivkhs, アイヌ、紀元前のフィンランド)等のあいだにみられる熊を崇拝する宗教的慣習である。ゲルト人のガリアや英国には熊と関連する神が多数在り、北欧の至る処の文化において、熊はトーテムに刻まれてその(宗教的な)存在感を示している。(以下先程簡訳したので略)

あとは、この部分だろうか、

The Ainu in Japan, the Nivkhs in Russia, the Haida of North America, and many peoples of central Asia regard the Bear Mother as their ancestress. The Great She Bear, Ursa Major, watches over us from the sky.

日本のアイヌ、ロシアのNivkhs、北アメリカのHaida、そして中央アジアの多くの人々が母なる熊を先祖(の象徴)であると見做している。夜空に輝くおおぐま座となって自分たちのことを見守ってくれているというのだ。

熊は母であり先祖である、と。

なお、英語版WikipediaのAinuの記述の殆どは、こちらの論文(金田一京助によるもの)を元に書かれているようだ。ログインしなきゃ全文読めないらしいので読んでないが、冒頭部だけでも参考になるだろう。


特にオチもなく(苦笑)、今回はまぁこんなところです。



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