アーティストクロニクルで耳を引いたのが、「周りのスタッフはヒカルに歌詞の話を特には訊かない」というエピソード。沖田さんなどは『花束を君に』の『薄化粧』という歌詞が死化粧の事だとは全く気づかなかった旨を力説していた。なるほど、ヒカルとあーだこーだと歌詞の意味についてディスカッションしたりはしないのか。
確かに、例えば18〜19歳ばかりの女の子相手にかなり歳上のおっさんが『幸せになろう』の歌詞について「『もっと欲しい』って具体的に何のこと?」とか詰め寄ったりできるかというと、いやぁあたしなら気後れしちゃうかな。本人は案外何でもないかもしれないけれど。結局の所、詞を書くのも歌うのもヒカルなので、そういうやり取りがレコーディングに要るか要らないかと言ったら要らないか。
中には、歌詞とサウンドが密接に関係してる場合などがあるから、その時はヒカルが自ら率先して解説してるのかな。「『俺の彼女』は歌詞に合わせて、男性の台詞は低音で、女性の台詞は高音で歌ってます。」とかなら言ってるかもしれない。ミックスもそれに沿って行われるだろう。実際のミックスダウン作業をするわけではないにせよその方向性については指示を出すとヒカルも言ってるしな。
そういう点では、スティーヴ・フィッツモーリスってホントによくやってると思う。三宅さん沖田さんの口調からするともうスティーヴはすっかりチーム宇多田の一員という雰囲気。日本語は話さない筈なのに、2016年以降の日本語曲のサウンドを悉く手掛けてきた。日本語歌詞についての理解がないと、例えば『Face My Fears』のシングル盤みたいな事態になりかねないのだけど、そういう不安や違和感は今の所一切無いわねぇ。一体どうやってんだか。
そんな彼、今日本に滞在してるらしい。ツアーギタリストのベン・パーカーJr. のインスタストーリーに載ってたかなんかで判明した。ミキシング・エンジニアが来日してるということは、今回も彼が…あ、しまった、今手元に『Laughter In The Dark Tour 2018』のクレジットがないぞ。ブックレットにスタッフの名前載ってた筈よね。なので前回については未確認だけど、もし仮に今回スティーヴが『SCIENCE FICTION TOUR 2024』のサウンド・プロダクションに参加してるなら心強いことこの上ない。
ツアー初日はもう明後日だ。プリプロを終え、一両日中にゲネプロで最終確認して本番とか、そういう流れだろうかな。リハーサルは幕張メッセのイベントホールだったのでは?という推理もあった。これもベンのインスタ由来の情報かな。いよいよだね。
懸念といえば、今回はセットリスト外注してないよな!? なりくんに任せた前回はおかげさまでわたくしライブレポもどきを書き上げる際に何度も「ヒカルのエモさとセトリが噛み合ってない」と小首を傾げる羽目に陥った。今回はそういうわかりにくいのは…まぁやってくれてもいいか。よいライブになるなら外注でもなんでも。実際素晴らしい内容だったしな。
ということで、すっかりお馴染みになった面々と、初めましての面々が集う今回の『SCIENCE FICTION TOUR 2024』。ステージの上も下も似たような状況ってことね。チケットの売り方をみるに、宇多田ヒカルのコンサートに慣れてる人も初めての人も満遍なく参加するということで。やってみなくちゃわからない。不安のドキドキは期待のドキドキと同じ。もう間もなく始まるよ。
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