ベストアルバムの選曲を考える上で避けて通れないのが原盤権の問題だ。幾らあの曲を入れようこの曲がいいと言っても、該当トラックを扱う権利を持っていなければベストアルバムに収録する事は出来ないからだ。
ずっと同じレコード会社に居たのなら問題ないのだが、ヒカルはその点、なかなかにややこしい経緯を辿っている。昔纏めたことがあったのだが読み返すだけでももううざったい。
【ヒカルのレコード会社変遷回顧】
https://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary/e/a96517f9c216fdd41efb114ee60ef4cb
なので↑これは読まなくていいよ。そして結論から言うと、原盤権についてはほぼ問題ない筈だ。というのは、少なくともアナログ盤として昨年発売された宇多田ヒカル名義のオリジナル・アルバム8枚に関しては、2022年の時点で1998~2022年の音源をアナログ用に新たにリマスタリングしてリリースできてた、ってことだからね。非常に単純な話なのでありました。
https://twitter.com/hikki_staff/status/1480729189037010945
また、今現在utadahikaru.jpのディスコグラフィーに掲載されている商品全般に関してもまた原盤権をアーティスト若しくは現行レーベルが所持しているとみて構わないのではないだろうか。商品自体が廃盤になっていたとしてもね。そこには、UTADAの『EXODUS』や『This Is The One』も含まれている。また、2017年にサブスク解禁した時に含まれていた音源も、原盤を自由に出来るからこそストリーミングに乗せられた筈なので、今度の『SCIENCE FICTION』には、宇多田ヒカルのオリジナル・アルバム全8枚とUTADAのオリジナル・アルバム2枚に加えて、それらに関連するEP等に収められた音源からも自由に選曲出来るはずである。なら一安心だわね。
実を言うと、原盤権が不自由な方が楽しみが増していた。名曲のスタジオ・リレコーデイング・バージョンが新しく録られていたかもしれないからだ。或いは、スタジオライブで、とかね。新しい録音は既存曲であっても興奮するのです、えぇ。
だが原盤権が安泰である以上、使用する音源は基本的にオリジナル・アルバムに収録されているものになるだろうから、何か新鮮味が与えられるとすればリマスタリングのステップでになるだろう。そしてそれは、前回チラッと触れたように、数多くのフォーマットに落とし込まれる現代においては些かの魅力を付加してくれるかもしれない。SHM-CDやハイレゾは勿論のこと、360RAやドルビーアトモスなど、多岐に渡るからね。
本来なら、そういうのは「録音時に」既になんらかの準備をしておかないといけないのが大体だ。立体音響は専用のマイクシステムが要る。聴く方はスマホとイヤホンでよくなったんだけどね。
ハイレゾについてもそうだわね。実を言うと初期の宇多田ヒカルの音源はそこまで高解像度のマスター音源を録音していない。その昔Twitterで照實さんから聴き出したから間違いない(その節はすいませんでした)。なので、最初の何枚かのアルバムのハイレゾ版はやや擬似的なアップコンバートに近いものとなっている。それでも流石に、いずれもCDよりはいい音なんだけど。
それを考えると、名曲群を原盤の音源でベストアルバムに収録する場合、オリジナル・アルバムを総て持っている人にアピールする為には、そういった新規リマスタリング以外ではどのようなアイデアが必要になってくるだろうか。次回はその話になる、かな。何か思いついたら、ね。
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