トシの読書日記

読書備忘録

心理小説の真髄

2018-04-17 15:11:30 | さ行の作家



ヘンリー・ジェイムス著 蕗沢忠枝訳「ねじの回転」読了



本書は昭和37年に新潮文庫より発刊されたものです。かなり古い作品なんですが、名著と言われているという話をどこかで聞いたことがあったので読んでみました。姉借り本です。


イギリスの片田舎の古い屋敷に、両親と死別してしまった幼い兄妹が暮らしてい、そこに家庭教師として赴任してきた「わたし」。


「わたし」はそこで二人の亡霊を見るわけです。一人は昔、この屋敷で働いていた執事。もう一人は「わたし」の前任の家庭教師。執事は兄を、前任の家庭教師は妹をそれぞれ悪の世界に引きずり込もうとするのですが、「わたし」はそれを阻止すべく立ち向かう…。


とまぁこんな話なんですが、「わたし」は幼い兄と妹に見えている亡霊を、二人はそれがまるで見えていないかのように振る舞っていると思っていて、あれこれと考えをめぐらすんですが、自分が思うには、この幼い二人には、本当に亡霊は見えていなかったのではないか。だとすると「わたし」の思考というのは完全に空回りしているわけですよね。このあたりの心理描写が実に面白い。


しかし、最後の最後、「わたし」はマイルズ(兄)をしっかり抱きしめるあまり、殺してしまうんですね。ここはびっくりしました。


ネットでちょっと見てみたら、小谷野敦が、本作品は凡作で、これを読んでヘンリー・ジェイムスを判断しないでほしいと。この人、なんだかいつも奇をてらってる感があって、好きになれません。




姉から以下の本を借りる


G・ガルシア・マルケス著 木村榮一訳「迷宮の将軍」新潮社
レオ・ペルッツ著 垂野綜一郎訳「アンチクリストの誕生」ちくま文庫
村上春樹「羊をめぐる冒険」(上)(下)講談社文庫



また、ブックオフで以下の本を購入


三島由紀夫「仮面の告白」新潮文庫
又吉直樹「第2図書係補佐」幻冬舎よしもと文庫
古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」文春文庫
町田康「権現の踊り子」講談社文庫
村上春樹「ラオスにいったい何があるというんですか?」文藝春秋



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