平松洋子 画・下田昌克「すき焼きを浅草で」読了
本書は今年5月に文春文庫より発刊されたものです。この「~(食べ物)を~(場所)で」シリーズは週刊文春に掲載されたものを本にしたんですね。後ろのところを見るとこのほかに6冊ほど出ております。そのうち3冊は自分で買って読みました。それで、以前のブログに平松洋子はもういいやってなことを書いたんですが、本書は姉が「あんた、これ好きでしょ」と言って持ってきたもので、まぁ持ってこられたら読まざるを得ないかなと。で、読んでしまいました。
相変わらずのそそる文章です。以下、特に心惹かれたもの、列挙してみます。
東京JR西荻窪駅近くの「大岩食堂」のスパイシーレモンサワー。たかがレモンサワーと言うなかれ。これには唐辛子、コリアンダー、クローブ、カルダモン、きび砂糖、レモンをドライジンに漬け込み、それを氷を入れたグラスに注いでウィルキンソン(カナダドライじゃないところがいいねぇ)のソーダで割る。もう読むだけでよだれが出ますね。
銀座6丁目「泰明庵」のせりそば。せりが葉先から根っこまで1束まるごと入っているそうです。これもいいですねぇ。
日本橋人形町の立ち食いそば「福そば」の紅しょうが天そば。
仙台「嘉一」の中華そば・塩あじ
そしてこれはお店のメニューではないんですが、一本850円の生わさびをすりおろし、熱々のごはんの上におかかを広げ、まん中にわさびを乗せ、醤油をまわしかけたわさびめし。個人的にはこれがどストライクでしたね。
あと、玉ねぎのせん切りとプチトマトを炒め、そこにS&Bの赤缶のカレー粉を入れてルーを作り、ざく切りにした油揚げと水を入れて煮るという油揚げカレー。
しかし読み終えて思うのは、自分は本当に食いしん坊だなぁということ。言い方を変えれば食い意地が張っているということなんでしょうね。長年食べ物関係の仕事をしてきたからそうなのか、生来のものなのか、よくわかりませんが。
本書の一番最後の記事で武田百合子の「富士日記」を取り上げていて、自分の感性と平松氏のそれとがちょっと一致した気がして、なんだかうれしくなりました。
先日、がんセンターの消化器内科の診察がありまして、話を聞いてきました。その2日前にCTと胃カメラをやったんですが、CTの画像を見ると、相変わらず食道はふさがっているんですが、なんだか白くてビラビラしたものが食道をふさいでいて、これは何かと聞くと組織が壊死したものではないかということ。放射線治療で焼けただれた組織かもしれないということです。前のCTの画像ではそういったものは見られなかったんですが、そのあたりをたずねてもなんだか要領を得ない答えでちょっとすっきりしませんでした。
いずれにしても、今行っている治療、免疫チェックポイント阻害剤による抗がん剤治療はこの状態では効果がないと判断しました。それで次回からはパクリタキセル(名前がちょっとうろ覚えですが)という、いわゆるタキサン系の治療に変更するとのこと。これは免疫チェックポイント阻害剤が開発される前の、いわば従来からある治療法というものだそうです。しかし、これは免疫チェックポイント阻害剤の治療よりは効果が期待できないそうで、自分のガン撲滅もかなり厳しい状況になってきました。
免疫チェックポイント阻害剤で効果が見られず、それより期待薄の治療に切り替えざるを得ないという、このつらい選択。いよいよ死の淵に迫ってきたな、という実感です。でもまぁいくらなんでもあと1~2年くらいは生きてると思いますがね。
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