トシの読書日記

読書備忘録

他者とのかかわり方 自己とのかかわり方

2017-01-31 15:28:18 | や行の作家



山下澄人「壁抜けの谷」読了



本書は平成28年に中央公論新社より発刊されたものです。


中日新聞夕刊の「大波小波」で本作家のことが書いてあり、興味がわいてネットの書評で調べて、一番山下澄人らしいものをと思い、本書を選んでみました。


一読、これはどうなんでしょうねぇ。評価は分かれると思います。自分は面白かったですがね。「しんせかい」という作品で第156回芥川賞を受賞しているんですが、これは山下らしくないとのこと。


全てがあいまい、あやふやで、現実のことなのか、夢の話なのか、過去のことを思い出しているのか、今現在の話なのか、もうとにかくわけがわかりません。主人公も最初は「ぼく」だったのが知らないうちに「わたし」になってるし、しかも「わたし」が女性になったり男性になったりと、本当の主人公は誰やねん!と突っ込みを入れたくなります。


人とのかかわり方、距離のとり方ということを考えさせられました。そうやって考えていくと、この小説はなかなかむつかしいです。今までの自分の読書の中では、こんな小説は初めてでした。


いい体験をさせてもらいました。いや面白かった。

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