山田太一「彌太郎さんの話」読了
本書は平成17年に新潮文庫より発刊されたものです。
先日、ブックオフへ行った際、山田太一の未読の本書を見つけ、即買いしました。
いや面白い。山田太一という人はプロットで読ませる作家だと思っているんですが、本書はちょっと毛色が違う感じで、彌太郎さんが主人公に語って聞かせる話が時と所を変えて延々と続くわけです。戦後、GHQに出入りしていた彌太郎さんが、米兵が4人の日本人を射殺するところをたまたま目撃し、米軍は口封じのために彌太郎さんを南方の独房に30年の間監禁したと言うのです。
その独房生活(というか、人生)の中で起こったあれやこれやを主人公に語るんですが、この話がまたにわかに信じがたい内容で、実際、彌太郎さんは、この間の話は全部ウソ、などとあっさり言って、主人公を驚かせます。
しかし、独房に30年間(実際は28年らしい)閉じ込められるというのは、どんなものなんでしょうか。およそ想像もつきません。
また、美保という女性も登場させて山田太一、小説にふくらみをもたせるのにぬかりはありません。
いや面白い話を聞かせてもらいました。彌太郎さん(山田太一)に感謝です。
ネットで以下の本を購入
松浦理英子「奇貨」新潮文庫
松浦理英子「最愛の子供」文藝春秋
坂口恭平「けものになること」河出書房新社
さて、今年も一年、拙い日記を読んでいただき、ありがとうございました。今年の総括は来年1月9日にやるつもりです(2日はお店は営業するので)。来年もどうかひとつ、よろしくお願いします。
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