トシの読書日記

読書備忘録

虚無の心象風景

2009-09-19 20:58:05 | あ行の作家
小沼丹「村のエトランジェ」読了



本作家の小説を読むのは初めてなんですが、以前読んだ庄野潤三と同じカテゴリーに入る作家であると、誰かのブログで知ったので興味が湧き、手に取ってみました。


初期の短編集ということで、表題作を含む8編が収録されています。


雰囲気は庄野潤三に確かに似てはいるんですが、庄野潤三の描く、淡々とした世界に比べ、小沼丹の小説は、淡い風景の中にも、少し毒があるような気がします。毒といって悪ければアイロニーと言い換えてもいいかも知れません。いずれにしろ、本作品は自分のツボではありませんでした。


解説を読むと、小沼丹はこの初期の時代を経て、「黒と白の猫」という小説で独自の世界を切り拓いたとあって、ちょっと読んでみたい気もするんですが、まぁいいかなと(笑)


洗練されたユーモアが持ち味の作家と言われてるようですが、しかしこの初期の作品集を読む限りではそれだけではない、先にも言ったようにアイロニーと、またペーソスが色濃く滲み出ている作家という印象を受けました。







《購入本》

エルヴェ・ギベール「赤い帽子の男」(先日読んだ堀江敏幸の「子午線を求めて」
   に触発されて)
橋本治「巡礼」(待望の橋本治新刊長編!)
西村賢太「瘡瘢旅行」(西村賢太、ついつい買ってしまうんです)
池波正太郎・壇ふみ他「山口瞳対談集1」(「2」が今月下旬刊行予定とのこと)
井上荒野「学園のパーシモン」
丸谷才一「笹まくら」
フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」


ジュンク堂名古屋2号店が栄のロフトにオープンしたので、ご祝儀代わりにたくさん買ってしまいました。

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