阿部昭「天使が見たもの」読了
本書は平成31年に中公文庫より発刊されたものです。
少年を題材とした全部で14編の短編を収めた作品集です。この中で、表題作になっている「天使が見たもの」を、例のFM愛知、小川洋子の「メロディアスライブラリー」で取り上げていたので、興味が湧いて買ってみたのでした。
その「天使が見たもの」、これはすごい作品でした。もう、救いようのない結末になっています。少年の母親に対する愛、依存、甘え、そういったものが強いだけに涙を誘います。つらいエンディングでした。
この阿部昭という作家、自分は多分初めて読むんですが、感情的なものを排して淡々と物語を進めていく筆致は、決して嫌いなものではないんですが、その作品が著者の生活をモチーフにしたであろうものをフィクションに仕立て上げたような手法が多く、それが自分の好みにはちょっと合わないかなと思いました。
ま、こんな作家もいるということで。
ネットで以下の本を購入
平松洋子編「忘れない味――「食べる」をめぐる27篇」講談社
ルシア・ベルリン著 岸本佐知子訳「掃除婦のための手引書」講談社
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