ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

アリス殺し

2015年11月17日 | 文学

 昨夜は小林泰三のダーク・ファンタジー仕立てのミステリーを堪能しました。

 「アリス殺し」です。

アリス殺し (創元クライム・クラブ)
小林 泰三
東京創元社

 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」は、誰もが知っている不思議なお話。

 大学院生の亜理は、毎夜、その不思議の国で冒険する夢を見ます。
 それも鮮明な夢。
 しだいに不思議の国と現実との境界が曖昧になっていきます。

不思議の国のアリス (角川文庫)
河合 祥一郎
角川書店(角川グループパブリッシング)

 

鏡の国のアリス (角川文庫)
河合 祥一郎
角川書店(角川グループパブリッシング)

 物語は、不思議の国を舞台にしたものと現実を舞台にしたものが交互に描かれながら進みます。

 やがて、亜理以外にも、不思議の国の夢を見続けている人がいることを知ることになります。
 共同してこの奇妙な事態を推理し、ついには不思議の国での存在と夢を見続けている人間がリンクしていることに気付きます。
 彼らはこれを、アーヴァタールと呼びます。
 要するに、アバターですね。

 そして怖ろしいことに、アーヴァタールが不思議の国で殺されると、現実を生きる本体であるはずの人間も死んでしまうのです。

 何者かが、これを利用して連続殺人を行い、アリスはその容疑者にさせられてしまうのです。

 不思議の国での会話がまどろっこしいことと、結構グロな描写がありますから、苦手な人には耐えられないでしょう。

 しかし、奇妙な味を醸し出しつつ、後半から加速度をつけてあっと驚く結末にいたるのは見事です。
 私はすっかり作者の術中にはまり、騙されてしまいました。


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