ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

やまがた住みます芸人の落語会に行ってきた。

2017-02-07 10:20:43 | 地域文化

 吉本が進めてる地域住みます芸人、ユニークだよなぁ。さすがのアイディアだ。押せ押せの芸人志願者に活動の場を与え、まっ、自分で作るんだが、芸を磨かせると同時に、地方に笑いの種を播いて行く。それも、吉本のお墨付きを巧みに利用しつつね。

 昔は歌舞伎とか義太夫語りとか、盛んに田舎を回って、その地のお大尽に気に入られれば長逗留なんてこともざらにあって、それが地方の文化レベル向上に大きな役割を果たしていた。芸人とは言えないけど、松尾芭蕉なんかの俳諧師もその手で暮らし立ててたわけで、「奥の細道」なんて、地方の文化パトロンのお陰でなった大成果って言えるだろう。

 山形の住みます芸人は、落語家の笑福亭笑助さん。大阪出身だが、縁あってかどうか、山形で口先一丁で暮らしを立てつつ芸の道に精進している。40歳過ぎて、独り身貫き?雪深き山形の地にへばりついて、いつか錦を!の思いで頑張っている。「やまがた35市町村 落語めぐり」って企画を立てて、川西にもやってきた。

 ホール入って、おっ!驚いた。見たことあるぞ、この定式幕。

 そりゃそうだ。つい先月菜の花座公演『流れ旅 匂うが紅』に使ったものだもの。そう、菜の花座が置農演劇部の力借りて作った。そうか、そうか。落語会にゃ持ってこいだよな。ホールがいっぺんに寄席らしくなった。振り返れば、後部座席を仕切る横断幕も置農演劇部が作ったもの。菜の花座、置農演劇部、貢献してるね。こうやってどんどん使ってくれるととても嬉しい。

 さて、出し物は古典落語2題。プログラムなかったんで、タイトルは忘れた。印象に残った2題目は、父親と子どもがお祭りの出店に出かけるって話しだった。初めて聞く話し、身勝手な父親とこましゃくれた子どものやり取りが楽しい。父親が子供にねだられてみたらし団子を買う場面。タレだけ舐めて、もう一度壺に串団子を突っ込むなんて、そうか、昔はそんな風に売ってたのか、などとなかなか面白かった。凧を買ったはいいが、父親の方が凧上げに夢中になるなんて光景も、うんありそう、ありそう、とほほ笑みつつ聞いた。父親とか子供の語り口は悪くないと思ったが、女房とか店やの主なんかの表現はもう一工夫が必要かな?なんて知ったふうな口聞いちまった。

 一番残念だったのは、話しのまくら、だな。父親と息子の話しってことで、自分の父親とのエピソードを語ったのだが、これが、真っ正直過ぎて、暗い!笑いの入り口にゃとても似合わぬ代物だった。まくら、あるいはつかみ、これは表現ものじゃとても大切。ここで笑いをとったり、ほほーっと話しに引き込んで、いざ本題へ、と行きたいね。あのひねりの足りないまくら聞いたら、ああ、この人の新作落語ってたいしたことないよな、って思ってしまう。残念。

 場合によっちゃ菜の花座のコント大会にゲスト・講師に呼びたいと思っていたんだが、ちょっとこのまくらじゃなぁ、悲観的になったが、芸人育てるのも地域の文化力。来てもらって、新しい分野、コントで苦労してもらうのもいいかもしれない。

 この落語会だって、町芸術文化協会が主催したわけだし。せっかく「住みます」で居着いてくれたんだ、ここから大きく羽ばたいてもらいたいじゃないか。おっと、こうやって身近にファンを作って応援させる、吉本の手にうまうまと乗っけられそうだよ。

コメント
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