ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

「あん」見て餡作ったら、「あん」やってた。

2017-02-02 10:04:07 | テレビ

 なんじゃ?このタイトルは。

 最初の「あん」はNHK番組グレーテルのかまどの「あん作り」、これ見て、おうおう、そうだったのか!と自分で餡を作ったらこれが美味しくて、早速アンパンなんかも作ってあちこち配給、その夜にBSプレミアムで映画「あん」をやってたからさっそく見たってお話し。おう、なんという奇遇!「あん」見て、餡作ったら、「あん」が見られたなんて。と、感動しかけたが、最近のNHKはこういう番組連携、お得意なんだよな。大河ドラマの前後には歴史発見番組やらご当地番組では必ず関連ものやってるし。まっ、うまくはめられたってことか。でも、

 いい映画だったなぁ。久しぶり、恥ずかしながら、泣いた。

 グレーテルで軽く映画の紹介あったから、餡作りを通した生きがい発見物語だってことはわかってたんだ。きっと、やる気のない店長が餡作りの秘伝を持つ老婆との葛藤の末に、自分の奢りとか自堕落とかを反省していくって流れだと思ってたから、餡作りの秘伝が出てくるのは、最後のクライマックス直前だと思っていた。ところが、

 なんと、映画じゃ、しょっぱなから秘伝公開!お、おい、こんなに早く山場持ってきちゃっていいの?と不安にかられながら見ていたら、なんと、主題はハンセン病元患者との交感だった。

 小豆をとことん慈しむ老婆は元ハンセン病患者、今も特別の施設で暮らしている。老婆の作った餡の美味しさが評判を呼び、またたくまにドラ焼き屋は行列店に仲間入り、でも、その変形した指から過去が知れ渡り、一気にお店は閑古鳥。謂われなき差別は今も根強く続く、せつない。原因が自分にあると気づいた老婆、自ら身を引く。それを引き止められなかった店長。やけ酒のワンカップがぶ飲み。彼には、傷害事件で人を傷つけた過去があり、その賠償金の支払いで、心ならずも雇われどら焼き屋として働いてい。先の見通せない暮らし、投げやりな生きざま。さらに、家主の無理強いがあって、

 彼は、唯一心通じ合う少女とともに、療養所に老婆を訪ねる。そして、老婆や他の患者たちの悲惨な人生を見聞きし、老婆の菓子つくりの遺品を譲り受け、今一度、公園の屋台からどら焼き屋の道を歩き始める。

 まっ、苦難の人生を強いられた人との出会いから、生きる力をもらう、って展開は、ある意味定番なんだけど、役者たちの演技がとても良かった。老婆の樹木希林、店長の永瀬正敏、少女の内田伽羅。それと監督・脚本の河瀬直美、観客の心打つ見せ方を心得ている。心に残るセリフの数々も。中でも、樹木希林、たかだか数秒のアップの中で、揺れ動く心を、見事に表現していた。永瀬の、堪えていた涙が流れ落ちる演技には、こちらも涙ぼろぼろだった。

 いいもの見た。が、映画での餡作りレシピ、グレーテルとは違ってたなぁ。それに仕上がりも、映画の方が粒がしっかり残っていて艶やかで美味しそうだった。小豆の来し方にまで思いをはせて声掛けする、なんてとてもできないが、砂糖の加え方、その後のかまし方なんかは、試してみてもいい。前回作った餡を使い切ったら、やってみよう。

 今度は、新しい豆の脱穀作業からだ。心こもるぜ、絶対!

 

 

 

コメント
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