桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

教えられた

2014-09-12 | Weblog
権力の世界は汚い。何をするか判らない連中が揃っていると思って間違いないが、昨日、朝日新聞の社長が記者会見して詫びた「吉田調書」も裏話があるんだってね。
吉田所長が原発から逃げろと指示した、と誤報を流し、世界に日本人を辱しめた、とか、いきり立つ連中もいるけど、あの誤報の情報は政府だって話だ。
まあ飛び付いて窮地に陥ったのは自業自得。ジャーナリストとして裏を取らないなんて、全くあり得ない話だから、朝日新聞が批判されて当然だけど、我々も本質を見抜く目が求められるということだろう。
俺は、吉田調書が公開されて、改めて吉田氏は大した人物だと思った。原発を守っての奮闘ではなくて、氏が自分の証言を絶対とは言わず、「自分の証言も間違いがあるかも知れないので、他の人の話も聞いて欲しい」と語った点だ。
人は、とかく自分だけを正しいと思い込みがちだ。あの大惨事の前に、あれだけの奮闘が出来たのも、吉田氏の客観的に物事を見る目があればこそだったろうと、真から感慨を覚えた。
俺など、冤罪を受けて人の危うさを知りながら、つい自分の思いだけが正しいと考えてしまう。
教えられた。