桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

虚構は得意だねぇ

2014-09-19 | Weblog
笑える話を知った。
木村拓哉演じる型破り検察官が、検察庁自身を含む悪に立ち向かって正義を実現するドラマの「HERO」が人気らしい。
その人気を利用して正義な生き方を学校教育の道徳に使おうと、フジテレビと文科省が一緒になって学校に、この番組を宣伝するのだと言う。虚構の作り話を以て道徳教育だとは、呆れるのを通り越して笑える。
さすがに、百田や曽野綾子と並ぶ存在の「御用聞きマスコミ」、フジ・産経グループだけあるし、靖国・天皇神話派の文部科学省大臣下村だけあるよね。
「HERO」に登場する久利生公平が、もし本当に検察官として存在して、ドラマのように正義を行おうとすれば、一体、どうなるだろうか。同じように行動して、同じように結果を残せると、この番組を観る人たちは思うのだろうか。
あり得ない。
もし久利生公平がいて、どこかの検察庁に存在したらば、たちまち左遷、そして「君には弁護士が向いている。弁護士になったらどうかね」と辞職を迫られるだろう。それが検察庁の現実だ。
検察庁と言う組織は、一度組織として決めた方針は、何があろうと変更しない。一度犯人だとして起訴したならば、徹底的に無実の証拠を隠し続けて「犯人だ、有罪だ」と主張する、腐った思考を持った人間の集まりなのだ。いや、それなりに正義観をもって検察官になるが、その正義観が腐ってしまう組織なのだ。
先般、裁判所が「証拠を捏造した」とまで指摘して再審開始の決定があった袴田事件で、今、検察庁が何をしているか、「HERO」を観て感動しているらしい人たちは知っているのだろうか。
検察庁は、その「決定」に抗い、見苦しいほどの抵抗をしている。袴田事件は、指摘された「5点の衣類の捏造」だけではなくて、「脱出裏木戸の鍵工作写真」(袴田さんが犯行後に裏木戸から脱出したとされ、その実験を警察官が行っている写真があり、脱出出来るように写っているが、裏木戸上部の鍵の辺りは写ってなくて、実際は鍵が掛かっていると抜け出せない。つまり、鍵を外して写真を撮る工作をしている)ことなどを含めて、多くの捏造がある。5点の衣類の味噌漬けなど、それを実験すれば簡単に捏造が明らかになるのに、ひたすらに「捏造ではない」と否定し、今も袴田さんを殺そうとしているのが検察庁だ。
虚構のドラマを道徳教育に使い、正義の検察庁の虚構を振り撒こうとは、頭だけは良い腐れ検察らしい考えだし、御用聞きマスコミらしい考えだが、あり得ない検察官を、あるかごとくに描いた虚構を道徳教育に使うなどはブラックジョークだよね。
言い出したのはフジテレビで文科省が乗った話だとあったが、きっと検察庁後援番組だろうし、フジテレビ接待の酒宴の席ででも、悪賢い検察首脳が「これを学校教育にどうかね」と示唆したことが始まりというのが真相ではなかろうか。
いやはや世も末だねぇ。