世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【長期金利0.2%許容は現行政策方針に超矛盾】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう②

2018-08-11 00:01:39 | 日本

前回からの続き)

 日銀は先月末の金融政策決定会合後の会見で、長期金利の変動上限として0.2%を許容する方針を示しましたが、現行の金融政策を維持する限り、これが継続する事態を絶対に許容しない(というより、許容できない)と予想しています。

 こちらの記事等で書いたとおり日銀は、インフレ(年2%程度)の実現に向けてマネタリーベースの拡大が必要だ!と国民に訴えてきました。ここでいうマネタリーベースとは、市中に流通するおカネと日銀当座預金の合計額になります。なお現時点のマネタリーベースと同預金の金額はそれぞれ494兆円と385兆円(6日時点:日銀HP)になっています。

 で、長期金利0.2%ラインが持続するとなると・・・日銀当座預金に積まれたおカネの多くが長期国債に買い向かうでしょう。というのも0.2%の長期国債投資のほうが、付利0.1%の同預金よりも大きな利回りが得られるためです・・・っても、ほんのわずかだけですが、これでも運用難の本邦金融機関にとってはありがたいはずです。

 いっぽう日銀当座預金残高のほうは、0.2%金利の長期国債が市中消化されていく中で、じりじりと減っていくでしょう。となると・・・マネタリーベースの額もまた減少することになります。つまり日銀としては、長期金利0.2%を許容することによって、マネタリ-ベースの縮小もまた認めざるを得なくなるということです。これは明らかに現行の超緩和的スタンス(=マネタリーベース拡大路線)と矛盾します

 そもそも日銀は、上記当座預金の政策金利残高(前年度の[法定準備金を超える]当座預金残高を超える部分)に対して0.1%のマイナス金利を適用しており、これを継続したままで長期金利の上昇(0.2%上限)を認めることは政策的な整合がとれません。したがって、当該金利上昇を許容するのならば、マイナス金利政策を撤回するのが順序としては先となるべきでしょう(?)。

 以上により日銀は、現在の「異次元緩和」にこだわる限り、長期金利が0.1%すなわち上記付利を大きく超え、0.2%に接近する局面が長く続くことを受け入れられないと予想するものです。そのような状況を許すこと自体が、マネタリーベースを膨張させてインフレを喚起するという現行金融政策の根本方針を真っ向否定することになりかねませんからね・・・

 よって日銀にできることは、長期金利が0.1%をちょっとだけ上回る水準を短期間限定で認めるくらいがせいぜいのはず(?)。各社には、そのタイミングをとらえ、安くなった国債を購入してもらって利ザヤを得てほしい、と願うところでしょう。いっぽう、上述した理由から、日銀は金利の0.2%近くへの高まりに長いこと耐えられないので、すぐに国債買いを実行せざるを得ません。そして投資家もそのように予想するから、同0.1%を超えたあたりで国債に買いを入れます。そんなこんなで結局、同金利はもとの0.1%前後に下落するしかないでしょう(?)。ちなみに現時点の長期金利は・・・0.09%(8月10日20:00時点)。要するに、そういうことなのですよ・・・(?)

 というわけで、日銀が0.2%上限を許容するくらいでは、邦銀等が投資できる国債量は引き続き極小水準にとどまり、それが各行の利ザヤの改善に寄与することはまずないと予想されます。かくして金融機関はいよいよ追い詰められ、その本来の役割である金融仲介機能を果たせなくなり、やがては金融システム全体が機能不全に陥る危機的事態になりそうです(?)。それが予期せぬ恐慌時ならいざ知らず、「金融システムの安定」を自身の使命と謳う日銀によって意図的に引き起こされようとしているわけです。このあたりが本政策の名称「異次元」の本質的所以といえるでしょう(?)。

(続く)

金融・投資(全般) ブログランキングへ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする