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【EU・ECB、ギリシャの債権放棄は事実上応諾不可能】これから始まる?真のギリシャ危機④

2018-08-27 00:00:34 | ヨーロッパ

前回からの続き) 

 ギリシャ金融支援の枠組みを真に終了させるためには、その最大の債権者であるEUECBが巨額の債権放棄を受け入れる以外にない・・・はずです。これならば、日米中など、少なくとも欧州以外のIMF出資国は損害を回避できますからね。

 ですが・・・これもまたEU内のコンセンサス作りが超モメそうなので、この策(?)もまた実現は厳しそうです。この場合、債権切り捨てを求められるのが、累計で約2千億ユーロもギリシャに貸し込んだESM欧州安定メカニズム:EUの金融安全網の枠組み)でしょうが、同国の債務を真に持続可能にする(徴税で相当額の歳入を確保し、不足する分は市場から穏当なコストで資金調達ができるようにさせる)にはこの大半を棒引きしなければならないでしょう(!?)。しかも、これによってESMへの出資者である独仏両国をはじめとするEU各国・・・の納税者が巨額の貸し倒れ損を被ることになります、仲間内のギリシャのせいで。はたして彼ら彼女らがこれを受け入れるのか、というかその超苦渋の決断をさせられる各国の政権がもつのか、はなはだ疑わしいのではないでしょうか・・・(って、国民の猛反発で政権が崩壊、その後、反EU的ポピュリストが政権を樹立!なんて政治リスクが・・・)

 こんな感じでESMが一人で損を被る策は無理筋。となってEUでは・・・ではギリシャ国債をECB(欧州中央銀行)に買い取らせますか、といった案が浮上するかもしれません(って、ドイツは絶対に反対するのは明らかだけれど)。これなら、米英などEU以外の各国中銀が緩和的金融政策などの名称で行っていることだから、まあイイのではないか・・・

 ・・・って、これだってダメです。そんなことをしたら―――ギリシャ国債をECBに買わせたら―――ポルトガルイタリアなどのギリシャ以外の重債務国が、オレたちの国債も買ってくれ~!と大声を上げるに違いなく、そしてこのムシのいい(?)要求を断る理由がなくなってしまいます。こうしてECBは各国債の実質的な直接引き受けに引きずり込まれ、それがもとで通貨ユーロが過剰に散布され・・・結局EU経済は激しいインフレ崩壊に至ります。そうしたくないからこそ「キャピタル・キー」の縛りがあるわけで・・・

 で、話が戻って、公的機関が無理ならば自己責任で突っ込んだ民間投資家にだけでも債権を放棄させ、ギリシャを少しは楽にさせようよ、って考えですが、これも実行はほぼ不可能。先述のように減免額が少な過ぎて実効性が乏しいうえ、これで多額の損害を食らうのが、またしてもドイツ・・・などのEU圏の投資家だからです。加えて、大西洋の向こうのアメリカの金融機関にまでダメージが及ぶのは避けられません。これらは当該債権やら欧州各行関連のデリバティブCDS)を相当額抱えていて、同国債デフォルトの際はギリシャに代わって契約者に損失分を支払わなくてはならないからです。その金額、いったいいくらになるのやら・・・

 以上、ギリシャを救うにはこれしかない!はずの債務減免=債権放棄は・・・こうして事実上、選択不可能であることが明らかにされました(?)。じゃあどうすりゃいいのか、ギリシャそしてEU・・・

(続く)

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