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【インフレ率は政策目標になり得ない】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手⑦

2015-05-21 00:01:28 | 日本

(前回からの続き)

 「異次元緩和」自体もそうですが、個人的には日銀当座預金付利撤廃(あるいはその引下げ)には反対です。その理由は、これがジャパンマネーのドルシフトを多少なりとも促す結果、(1)為替がもう一段の円安に振れ、ただでさえ厳しい政策意図的な輸入インフレ(コストプッシュ型の「悪いインフレ」)がいっそう過酷なものになり、日本経済を痛みつけるおそれがあること、そして(2)近い将来必然的に訪れる(?)円高ドル安局面で、ドルに移っていたこれらのマネーに巨額の為替差損失が発生し、本邦金融機関の財務のみならず、わたしたちの資産(預貯金)にも悪影響が及ぶと懸念されること、の以上2点。

 逆にメリットって何がある・・・? おそらく金利は(長期金利が0.1%を下回るくらいに!?)さらに下がるでしょうが、もとより市中の資金ニーズは乏しいうえ、金利は十分すぎるほど低いので、わずか年0.1%の付利をゼロにしたところで、その景気刺激効果なんて微々たるものでしょう。それどころか実質のマイナス金利幅がいっそう拡大して消費等を冷やす方向へとネガティブに作用するのでは・・・?

 まあ前回書いたように、黒田日銀総裁は付利撤廃等は考えていないと明言されているので、これらの心配事は実現することはないだろう、と思いたいところ。ですが・・・これまた先述のとおり、足元の原油安でインフレ率が伸び悩んでいるうえ、「ジャパンマネーにもっとドル投資をさせろ!」というアメリカのプレッシャーがキツくなるなか、日銀がマネタリーベース拡大へのこだわりを捨て、しゃにむに円安インフレを煽る策に出ないとも限らないので、国民各層には今後もエネルギーコスト上昇や実質所得減を耐え忍ぶ覚悟が求められそうですね、やれやれ・・・

 それにしても・・・いつになったら人々はリフレ政策のオカシサに気がつくのか。インフレ率なんて政策が達成目標に掲げるべき指標ではなく、その時々の総合的な経済情勢(とりわけ「金利」)によって結果的に出てくるものと理解しています。で、わが国は・・・恒常的な経常黒字が超過貯蓄を生み出しているので、ヘンなことさえしなければ金利はそうは上がらないし、(経常赤字国、つまりアメリカに対して)通貨は高くなるから、原油等の輸入必需品の円建て価格はおのずと安定する(場合によっては下がる)、つまり低インフレ(あるいは「デフレ」)状態になるわけですが・・・その何がイケナイの? ガソリン価格電気代や輸入食料品の価格が下がれば、企業の製造原価が下がり、家計の可処分所得は増えるから、それだけ配当や設備投資や消費・貯蓄等に回せるおカネが増えて、みんなハッピーなのでは?

 そんな状態のときに―――自然に超低金利が維持できているときに―――突然、インフレを起こします!とやるからミョーなことになって、国民の多くがマイナス金利、つまり預貯金の目減りとか、「悪いインフレ」等に苦しむわけで・・・。そもそも政府・日銀インフレ目標の2~3%という数字の根拠って、いったい何? ひょっとして「3」くらいならいいんじゃね?みたいな超感覚的な数字なのでは? 実質ゼロ金利のもとで物価が2%上がれば、常識的に考えれば国民の大多数の所得はインフレで減るはずだけど、にもかかわらず日本はどう豊かになるというのか? このあたり、もっともロジカルであるべき、もっとも計量的であるべきこの国のリフレ派エコノミストの誰もが納得のいく理屈を提示できていない。とりわけ日銀のエライ方たちが・・・

 ・・・とにもかくにも、米FRBの金融政策(利上げ、本当にするの? するならいつ?)の行方と合わせ、日銀の次の一手とそのロジックに要警戒、ではなく要注目ですね。

(「日銀『異次元緩和』破綻したロジックと次なる手」おわり)

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