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【案の定、対ギリシャ支援継続決定!】通貨ユーロはどのみち崩壊へ向かう?③

2015-07-17 00:03:34 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 前回、もし債務危機に直面したギリシャに対する3回目の金融支援が発動されず、同国がデフォルトに追い込まれたら、ユーロ圏債権国にはギリシャ国債の評価損確定および純資産が毀損したECBへの資金拠出等により、総額4000億ユーロ(いや、おそらくそれ以上)にものぼる巨大な財政負担が生じるおそれがある、といった見方を綴りました。これはこれら諸国には耐えがたいほどの苦痛を与えるでしょう。

 それでも・・・上記の道を選んだほうが、長い目で見てギリシャ債権国の損害は少ないだろうと見積もっています。なぜなら先述したように、ギリシャの債務持続性はとっくに失われているとみられるから。ここでギリシャ支援継続を決めたら、各国は公的資金をいっそう拠出させられるとともに、遅かれ早かれ「債務整理」という名の借金棒引きを強いられる事態へと確実に導かれるでしょう。こうして、どのみちギリシャ債権はド派手に貸し倒れるのだから、その損失処理(とギリシャのユーロ圏離脱)は早いほうが負担が軽く済む・・・はずだったのですが・・・

 ・・・「ユーロ圏諸国、ギリシャ追加支援で合意!」・・・やはりな、という思いがします。本稿一回目で予想したとおり「ギリシャの勝利、債権国の敗北」となりましたね。内外メディアは「ギリシャ全面降伏」なんて書いていますが、とんでもありません!その逆の「ユーロ圏全面降伏」ですよ。なにせギリシャは「改革」を法制化しさえすればこの先3年間で860億ユーロもの新規融資を得られるのですから(15日、ギリシャ議会は改革案を可決!)。本稿の文脈からすれば、これを認めた時点でユーロ圏の負けは決まり・・・って正しくはギリシャにではなく、数千億ユーロの損害額確定の重圧に対して負けた、ということ。

 で、その改革とやらの中身は・・・たしかに付加価値税(VAT)の増税とか年金支給額の削減など、ギリシャ国民には痛みがともなうものもありますが、残念ながら同国の債務持続性を満たす内容からはほど遠いことは明白です。レストランのVATを引き上げました!とか、観光地の軽減税率を廃止しました!程度のお寒い改革で、どうやったら差し引き年間数十~数百億ユーロの返済原資を確保できるというのか・・・。

 さらに、今回融資の条件としてギリシャが実行を約束させられた総額500億ユーロの国有資産活用策も超「どんぶり勘定」です。これらの売却等で得たおカネの半分を返済に、残りをギリシャの銀行の資本強化と成長投資等に充てる・・・なんて「絵に描いた餅」もいいところ。これら資産に現在、500億ユーロもの価値なんてあるわけないからです。したがって、いますぐにでも必要な同国の銀行救済資金は別途、ユーロ各国とECBがひねり出すことになるのでしょうが、いったいどうやって・・・?

 まあ上記以外にもツッコミどころはたくさんありますが、それはともかく今回の合意は目先の「リスクオフ」(ギリシャのデフォルト等がもたらす大混乱)を回避するためだけの、債務弁済能力「ゼロ」の破産人に等しいギリシャに対する巨額「追い貸し」プロジェクト第三弾、といったあたり。逆にいうと、厳しいけれど、まだマシな上記第二の道―――これ以上の支援を断念し、ギリシャのデフォルト・ユーロ圏離脱を認めたうえで、ユーロ圏諸国はギリシャ国債の貸し倒れ処理を実行する―――は選択されなかったということになります・・・。

(続く)

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