(前回からの続き)
さて日本は・・・繰り返しになりますが、ここはアメリカに同調してもよろしいかと考えています。つまりわが国は、アメリカとともに中国に対して人民元取引の自由化を進めるよう要求するべきだ、ということ。そして同時に、欧州やイギリスとも連帯して、自由化されないのであれば人民元のSDR構成通貨入りは認められないと主張するべきでしょう。「外面」は良さげに見えて「内面」は???みたいな怪しい「張子の虎」のままでは人民元はハードカレンシーとしての要件を満たすとはいえないからです。
まあこの先、中国とアメリカの金融覇権を巡る駆け引きは激しさを増していきそうですが、わが国はけっこう余裕ですね。本来なら・・・中国に対してはアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加をにおわせつつ、人民元取引の自由化ではアメリカの肩を持ちながら、米中の争いを文字通り「(円)高みの見物」することができるのですが・・・(どちらが勝ってもコケても、「円>ドル>人民元」か「円>人民元>ドル」で、どのみち円の優位は揺るがない[米中と違って通貨危機は起きない]、という意味)。でも円高ドル安(人民元安)になってエネルギーコストが下がって企業も家計もホッとできるのに安倍政権・日銀周辺は「リスクだリスクだたいへんだ!」なんて大騒ぎするんだろうな・・・
と書きながら気づいたのですが、「円」以外の現在のSDR構成3通貨―――ドル、ユーロ、英ポンドってどれも人民元と同様の「インフレ通貨」。しかも、それぞれの事情で今後も(爆発的に?)増刷されそうな気配に満ち満ちています。ということは上記を口実に人民元を国際通貨の仲間に入れないという理屈は成り立たないのかもしれない、と思いつつ、いかにいまの世界の通貨体制が危機(資産デフレ絶対阻止→ひたすら金融緩和→激しいインフレ発生リスク)に瀕しているか、ということを実感します。その根本原因は通貨の不換性、つまりいまのおカネが金(ゴールド)などの実物資産に裏付けさせていない紙切れだということ。だからいくらでも借金できて、その穴埋めのために乱発されて、あげくのはてに信認を失っていくわけで・・・。人民元どころか、ドルもユーロも英ポンドも・・・。
そのなかで、相対的な規律と信認を保った国際通貨は、世界一の純債権国・日本の「円」くらいなのではないでしょうか(あとはスイスフランくらいか)。したがって、新しい世界の金融秩序をリードすることができる国は、アメリカでもましてや中国でもなく、わが日本国だと半分本気で思っています。もちろんアベノミクスはこれに逆行する政策、というよりはパクス・アメリカーナ(ドル覇権)を延命させるための政策といえそうですが、はたしてどこまで保つのか・・・。かといって中国の天下は来そうにないし、欧州はたそがれる一方・・・。
で結局、米欧中3者は「共倒れ」となり、世界のマネーは金(ゴールド)へ、そして「円>ドル>ユーロ>人民元???」の序列にしたがって日本をめざす・・・というのが年初、こちらに書いたわたしの近未来予想なのですが・・・
(「中国は世界金融の覇者にはなれない」おわり)
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