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【アジアと違って欧州仲間ギリシャには甘い?IMF】ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか②

2017-06-21 00:00:32 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前述した、ギリシャに対するユーロ圏による総額85億ユーロもの追加融資実行に関する「建設的な(constructive)」決定を受けて注目されるのは、同国への追加支援を留保している国際通貨基金(IMF)の動向です。

 IMFは同国支援の1回目と2回目には参加したものの、その後はギリシャ債務の持続性に対する疑義を口実に新規融資を停止しています。そのIMFですが、このたびの上記決定を機に、同国に追い貸しをする腹積もりのようです(?)。同トップのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、同国の債務軽減策についての確証をユーロ圏から得ることを前提としつつも、ギリシャに対して総額20億ドル・期間14か月の支援を理事会に諮るとのこと・・・

 ・・・といったように、IMFの対ギリシャ支援再開が正式に決まったわけではありませんが・・・以下の理由から個人的にはこのIMFの方針には疑問を感じるところです。

 IMFは以前から次のように言ってきたはず―――ギリシャが抱える債務はあまりに巨額なので、債権者がこれらの多くを放棄しない限り、その持続は不可能、よってユーロ圏が実現性のある策、はっきりいえば借金棒引きを受け入れなければ、IMFは貴重な出資国のおカネをこれ以上、ギリシャに注ぎ込むわけにはいかない―――と。

 で、今回の合意のベースとなる具体的な計画ですが、ギリシャの基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字を2023~60年までGDP比で約2%にすることや、救済融資金の支払い負担軽減策(加重平均した残存年数の延長や利払いの最大15年物繰り延べ)の実施といったもので、まあ後者はともかく前者の「2%」(同国GDP約1820億ユーロと予想するなら今年は約36億ユーロくらい)×38年間の達成など、どうひいき目に見ても・・・当のギリシャ人でさえ「これだけ財政赤字を垂れ流してきたわれわれには『絵に描いた餅』だろ!」と吹き出しかねないほどの「建設的な」出来栄え・・・

 ・・・これでIMFがギリシャに対する融資を再開するようなら、第二の出資国であり非欧米国でもある日本は抗議・・・とはいかないまでも、IMFに対してその根拠を詳細に説明するよう申し入れるべきだと思います。なぜなら、以前も書いたように、IMFの融資スタンスにはブレがあるように感じられてならないから。もっとはっきり指摘すれば、IMFは欧米(とくに欧州)諸国にユル過ぎるということです。このとき、ラガルド氏(フランス人)を含むIMF歴代トップが欧州人の指定席になっていることと無関係ではないはずだ、などと加えてもいいかも。「そのこととギリシャ支援の実行とはまったく関係がない」とIMFは応えるでしょうから、「ではどうしてギリシャの融資・返済条件等をアジア通貨危機時の支援受け入れ国と同等にしないのか」と返してみては・・・

 そもそもギリシャ支援にIMFが関与する必然性は無いと考えています。それはユーロ圏諸国やECBがするべきことだから。しかもユーロ圏にはドイツ、フランス、オランダ、オーストリアなどなど、ソブリン格付けがAAAという、支払い能力が最上級の国々がズラリと揃っているわけです。であれば、ギリシャの公的債務など、これら諸国が潤沢なマネーを貸すなり、債務帳消しに応じれば、たちどころに持続可能になるはずですからね・・・(?)

続く

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