世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日銀、長期金利の変動上限0.2%を許容へ】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう①

2018-08-09 00:01:16 | 日本

 あらためて痛感させられるのは、やはりいまの世界で・・・「適当な投資先は日本国債しかない!」という事実なのでしょうね・・・

 先月末、日銀の金融政策決定会合が開かれました。大方の予想のとおり、その結果の大枠は現行政策の維持というものではありましたが、いっぽうで、当面はゼロ%付近に誘導するとしている長期金利の変動上限について、これまでの倍にあたるプラス0.2%まで許容する方針が会見の席で示されました。これを言い換えると、そのラインまでの長期国債の買い入れ価格の下落を日銀としては容認する、ということになります(・・・って、その言葉を信じてよいものなのかは下述することから極めて「?」ですが・・・)

 で、その意図は、長引く超低金利環境で苦境にあえぐ本邦金融機関に、価格の下がった国債を購入させ、少しでも利ザヤを得てほしい、といったあたりでしょう。こちらの記事等で以前から指摘しているとおり、「異次元緩和」発動以降の日銀が国債の(超)大量&高値買いをしてしまったせいで、合理的な説明がつく価格で市中に流通する国債が枯渇しています。これによって邦銀の多くが、国債という、お客さまから預かったおカネの最大の運用先を奪われてしまいました。だからといって融資等―――企業向けの貸し出しやら個人向けの住宅ローンやら―――は・・・まあ超低金利という、借り手にとっては有利な環境こそあるもの、他方で本政策によって意識的に引き起こされた輸入インフレ等による実質所得の伸び悩み等で肝心かなめの個人消費が低迷する中では、そうは増えるものでもないでしょう・・・

 こうして多くの銀行は、日銀の現行政策が開始されて以降、じわじわと投融資先を失い、利ザヤを減らしてきたわけです。このままでは地銀など、体力の乏しいところから過小資本に転落したり、「新規預金お断り」を掲げる銀行が現れないとも限りません(?)。これ、誰がどう見ても日銀に起因する金融システムの機能不全だし、実際にそんな銀行が出てきたら現政権の責任問題にも発展しかねないわけで・・・

 ・・・ってな危機的状況の発生が予見されるので、日銀は長期金利の上昇(長期国債の価格下落)を受け入れた、という次第なのでしょう。しかし・・・限界MAXでも0.2%程度ならば依然として利益は「雀の涙」であることは明白だし、そもそも日銀は0.2%が恒常的になる事態を、現行政策を続ける限りは絶~っ対に許容しない、というより、できないでしょう(?)。なぜなら、そうなったら・・・日銀当座預金積まれたキャッシュが、安くなった国債に向けて流出し、同残高が減少して、マネタリーベースが縮小する可能性が生じるためです。

(続く)

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【アベノミクスへの過剰期待で超マイナス経済成長に気が付けず・・・】個人投資家には貢献?のアベノミクス③

2018-08-07 00:00:51 | 日本

前回からの続き)

 以前から書いているように、いくら「カブノミクス」(「アベノミクス」の私的造語:取り柄は「株のみ」)が演出した株高を上手に生かして、ミセス・ワタナベ(本邦個人投資家)がこうして儲けても、2つの意味でトータルの日本経済は・・・やはり、(超~)マイナスだと考えています。

 一つ目は前述のとおり、せっかく個人投資家が売り抜けた株を、今度は年金基金やら日銀やらが高値掴みをしてしまったと推測されること。いまでこそ表には出ないものの、今後の世界経済の大変動のなか、これらの巨大な含み損が顕在化し、国家国民的な問題になってしまうような気が・・・

 二つ目は・・・こちらの記事に長々と書いたとおりです。すなわち、カブノミクスのもとでは必然的に株高が円安を伴うので、電気代とかガソリン代といった生活コストが増加して、その分、個人消費が落ち込んでしまうということ。これ、株で利食った人々の消費増分くらいではまったく埋め切れないくらいのダメージであることは明らかです・・・って、本ブログでさんざん綴っていることですが・・・

 まあともかく、このたびの個人投信総額の30兆円もの過大誤計上は、表面上は日銀の単純なミスのせいなのでしょうが、その背景にはカブノミクスへの過剰誤期待(?)があるような気がしてなりません。だからこそ政府・日銀は、アベノミクス(≒異次元緩和)開始後の日本経済が実際には1兆ドルものGDPを失ったことに、まったく気が付けないのでしょうね・・・(?)

(「個人投資家には貢献?のアベノミクス」おわり)

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【バブル期に家計は株売却で利食ってアベノミクスの恩恵あったかも?】個人投資家には貢献?のアベノミクス②

2018-08-05 00:02:02 | 日本

前回からの続き)

 カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)の期待とは裏腹に、わが国のミセス・ワタナベ個人投資家)はじつはアベノミクス期間中の2013年あたりから昨年まで株式を売り越してきました。前述した日銀の初歩的な統計ミス(家計の投信保有額を30兆円も過大に誤計上!)はともかく、アベノミクスとしては、せっかく超低利に誘導してリスク投資に適した金融環境にしているのに本邦家計はなぜ株を売るのか、なかなか理解しがたいところでしょう・・・

 ・・・ってこのあたり、何度も指摘しているように、日本の個人投資家のこの売りスタンスは適切だと考えています。というのもこの期間は、世界的な資産バブルのピークだったと考えられるからです。おそらくそれは2014年の夏頃(米FRBQE停止[201410月末]の前)だったでしょう(?)。まあその後も米株などはさらに高値を更新していますが、FRBが金融引き締めに(遅まきながら?)取り掛かっていることもあり、この時期以降は基本的にバブルのバースト期に入っているものと考えられます、長い目で見れば・・・(?)

 となってくると、このタイミングよりも前からこれまでの間、リスク資産の筆頭である株を高値付近で延々と売ってきたミセス・ワタナベの多くは相当なプラスリターンを得た(?)のではないでしょうか。他方でこのとき日本株を買い上げていた代表選手は・・・外国人投資家、というわけで彼ら彼女らに高値掴みさせた(?)という点も合わせて、本邦投資家は上手だったよ、と思いたいところだし、そのような意味でアベノミクスは日本・・・の一部家計にとっては恩恵があったといえなくもありません・・・って、あくまでも「株のみ」ですが・・・(?)

 もっとも、結果的に日本の株投資家をこうして儲けさせたのは外国人投資家ばかりではありません。わが国の公的年金基金や、金融政策の一環として毎年6兆円ものETF(日経平均やTOPIX等に連動するタイプの上場投資信託)の購入で実質的に株投資を進める日銀も同じような役回りを演じてきました。これらは、バブル崩壊局面のこの時期にしこたま日本株を買い入れてきたことになります。ということは・・・上記のとおり、せっかく家計は利益を得ても、同じ仲間内(日本)の年金やら日銀が含み評価損を抱えてしまっては何にもなりませんね・・・

 ・・・って、だからこそこちらの記事等に書いたように、わが国は国を挙げてリスク投資を手仕舞い、個人投資家や本邦企業の多くと同じように、円のキャッシュとともに「冬支度」に入るべき、と訴えているところですが・・・ほかならぬ日銀が「こんな感じ」だから、上記バブルが超危険なスケールになってしまった、といったあたりが現状かと思います。

(続く)

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【日銀、家計投信額30兆円もの過大誤計上!】個人投資家には貢献?のアベノミクス①

2018-08-03 00:01:04 | 日本

 あらためて「ミセス・ワタナベ」つまり本邦個人投資家のマーケット観の正しさ(?)を教えられたニュースではありました・・・

 先月24日、わが国の家計が保有する投資信託の額が実際より30兆円以上も過大に誤計上されていたことが明らかになりました。当該ミスがあったのは、本ブログでもよくリファーする日銀の資金循環統計。報道によれば今年6月、当該統計の改定値を算出した際、昨年12月末時点の家計の投資信託保有額について101.1兆円としていたところ、正しくは76.4兆円であり、じつに33兆円近くも余計にカウントしていたことが分かったそう。これ、「ゆうちょ銀行」が保有していた外国債券の一部がじつは投資信託で、投資信託総額から金融機関が持っている分を控除して家計額を算出するときにこれを引き漏れたため、それだけ家計分が膨らんだ、とのことで、明らかな日銀のミスであり、何ともお粗末な話であったわけです・・・

 まあそのとおり、単純な間違いだったのでしょうが、いっぽうで個人的には、日銀にはそんなミスをやってしまいがちな風があったのだろうな~とも感じます。というのも日銀は「異次元緩和」によって「カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)の旗を振り、預貯金(≒日本国債)からなかなか離れようとしない国民に株投資を煽り続けてきたからです。であれば日銀はどうしても前のめり&勇み足になり、自分たちの金融政策がこれだけ功を奏している(!?)のだから国民の投資信託保有額は増加しているに違いない!との先入観にとらわれてしまうでしょう(?)。で、結果として上記ミスをやらかしてしまった、といった次第では・・・(?)

 そのへんの真相はともかく、ミセス・ワタナベがこの間、投資信託保有額を減らしてきた、すなわち株を売り抜けていたことが明らかになったことが重要だと思っています。実際、訂正後の上記統計によると、個人金融資産に占める投資信託の割合は直近では2014年の4.6%がピークで、昨年は4.1%にまで低下しています。日本取引所グループの投資部門別売買状況(東証一部)を見ても、「個人」投資家は2014年以降、一貫して「売り越し」ており、昨年は当該売り越し額が約5.9兆円(委託内訳)とこの4年間では最高を記録しています。他方で「法人」や「海外投資家」はこの間、売り越した年もあれば買い越した年もある、といった状況・・・

 で、その意味するところは・・・カブノミクス日本の家計は、企業やら外国人らに対して株を売り抜けて・・・しっかり利食った、ということです(?)

(続く)

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【日本の僥倖:アベノミクスのインフレ2%が未発現】インフレ政策:国債所有者が自国民の国家では不適切⑤

2018-08-01 00:01:02 | 日本

前回からの続き)

 以上、日本では国債所有者の大半が自国民であることから、その資産価値が目減りするインフレ政策は適切ではない、と綴ってきました。インフレについては以前記事「なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか」および「インフレ政策が日本で不適切な理由」等においてもそのネガティブさについて指摘しましたが、今回の論点を含め、この国が意図的に発現させるべき経済環境でないことは明白だと思っています。

 あらためてインフレとは・・・「名目金利-インフレ率<0」すなわち実質金利がマイナスに沈んだ状態のこと。「アベノミクス」(≒日銀の金融政策「異次元緩和」)はその年率2%の達成を目論んでいるわけですが、この実現の際は現在100円のモノが1年後に102円(税抜き)になるいっぽう、預貯金100円はほぼもとの100円のまま、つまりその実質価値が約2円目減りすることになります。であれば誰もおカネを貯蓄に回さず、元本割れリスクを承知でインフレ以上の利回りを得られる株などに投資しようとするでしょう。その意味するところは・・・これまで国民に買い支えられてきた日本国債(≒預貯金)が十分に売れなくなって、その価格が低下し、金利がじりじりと上昇する・・・ということです・・・

 先述したように、日本の国債等残高は現時点で1千兆円を超える規模に膨らんでいます。ということは、金利のわずかの上昇でも、政府の返済負担は急増し、財政は危機的状況に陥るでしょう。したがって本来ならば、わが国の政府や金融当局にとってこうした破局を招きかねない施策の採用は絶対のNG・・・のはずですが、いまは異次元だからね・・・

 ・・・幸いなことに、というより諸外国が「インフレ政策」を実施してくれているおかげで(?)、現実にはアベノミクスは上記目標を達成できていません。だからこそ日本は上記破綻を免れているわけです(?)・・・っても、このままではどうなることやら分かったものではありません。よって一刻も早くこの国がもとの次元、つまり最低ライン「名目金利-インフレ率=0」(あるいは「≧0」)に回帰するよう、願うものですが・・・

(「インフレ政策:国債所有者が自国民の国家では不適切」おわり)

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