(前回からの続き)
以上により、ユーロ圏の悲願(?)である「財政」統合は、ドイツの猛烈な反対で実現することはなさそう・・・ですが、確率はとても低いけれど、以下の事情から、フランスなどの仲間に対して「ユーロ圏の財政を一本化しようじゃないか」と何と!?ドイツの方から逆提案する可能性があるのかも(?)。そのきっかけになりそうなのが、ドイツ最大の銀行である「ドイツ銀行」の破綻(?)です。
このあたりはこちらの記事に綴ったので詳細は省きますが、近いうちにドイツ銀の経営不安が表面化し(って、すでに十分に表面化しているように見えますが)、同行の公的救済が検討されることになると予想されます(?)。その際は財政資金を同行に注入することになるのでしょうが、問題となるのはその金額。最悪、デリバティブ関連の巨大損失も明らかとなって、さすがのドイツ・・・財政でも手に負えない規模に膨張するおそれも・・・
ユーロ圏には「欧州安定メカニズム」(ESM)と呼ばれる、財政危機に陥った国に対する資金融通のための共通セイフティーネットがあります。ドイツはESMへの最大の出資国であることから、いままで各国、とりわけ同出資額が少ない重債務国に対して「ESMに安易に頼るんじゃねーぞ」的な態度を取り続けてきました。その手前(?)、ドイツ銀が上記のような危機的な事態を迎えてもドイツはおそらくESMに一切頼らず、自国の財政資金等だけでこの難局に対処しようとするでしょう(?)。ですが・・・そんな意地を張り通すことがいつまでできるのか・・・
・・・で最後に、ドイツが自前のおカネでは賄い切れずにESMマネーを借りざるを得なくなって・・・他の出資国すなわちフランス、イタリア、スペインなどに頭を下げることになったりするかも・・・(?)。そのとき仏伊西らは内心で「なんだよドイツ、あれほど『自分のことは自分で』みたいな言い方をしていたのに・・・」と超~ムカつきながらも、表面上はラテン系の乗りで(?)「セニョールドイツ、苦しいときはお互い様、みんなで助け合おうぜアミ~ゴ!」とにこやかに振る舞うことに。なぜならこれこそ―――ドイツが他国のおカネ(ESMの資金)に頼ることこそ―――ドイツ以外の大半のユーロ圏諸国が切望する財政統合に向けた一歩になり得るからです・・・(?)
というわけで「ドイツ銀の今後に大注目!」が本稿の結論です。この銀行の動向によってはこの先のユーロ圏の金融・財政の枠組みが大きく変わることになるかもしれないためです・・・って、同行が火を噴いたらそればかりか海(大西洋?)の向こうの「本丸」にも延焼してトンデモナイことになるような気が・・・
(「ユーロ圏、金融・財政の統合を決断できるか」おわり)
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