前稿で、サウジアラビア、アメリカ、日本の「アキレス腱」(自国だけでは如何ともし難く、どうしても外国に頼らざるを得ない、その国のウィークポイント)について、それぞれ「食糧」「金利」「エネルギー」と指摘しました。では逆に、これら3国の、それぞれの弱点をガードするような「強み」は何でしょうか?
サウジアラビアの場合は・・・いうまでもなく「石油」。同国はロシアと並ぶ最大の原油輸出国であるほか、石油輸出国機構(OPEC)の盟主として、最近ではOPECを含む産油国全体の生産抑制等にリーダーシップを発揮しています。同国としてはこうすることで、原油輸出の利益を少しでも増やし、国家国民に不可欠の「食糧」をはじめとする外国産品を確保する裕度を高めたいところです。
アメリカは・・・これまた当然「軍事力」。自身最大の弱点「金利」すなわち米ドルの価値は、この圧倒的なパワーに守護されているといってもいいでしょう。たとえば、上記サウジアラビアに対しては・・・「石油」をドルで売り続ける限り、サウジ・・・というよりサウド王家は、わがステイツの「軍事力」で守ってやる、といった具合。サウジアラビア(およびペルシャ湾岸諸国の多く)はこれで得たドルの多くを米国債投資というかたちでアメリカに還流させているわけで、結果として世界最大の純債務国の金利を一定レベルに留め置くことに貢献しています。
日本に対してもサウジと似たような感じです。つまりアメリカは日本に・・・「対米貿易等で得たドルは絶対に金兌換要求せずに米国債購入に回せ。そうすれば中国やロシア(ソ連)の脅威に対して『核の傘』を提供するから」と言い続けてきました(って、個人勝手な推測ですが・・・)。わが国はこれに素直に従い(?)、実際に世界一の、しかも一度買ったらけっして売らない(?)米国債の保有者となって、アメリカの上記弱点を見事に埋め合わせてきたわけです(?)。もっとも日本は・・・こちらの記事等に書いたように、結果的に巨額の用心棒代(?)を支払う羽目になっていますが・・・
では、日本の「強み」って・・・いったい何? 上記の定義に照らすと、国家の「強み」とは・・・「アキレス腱」と180度逆で、「その国しかできない」「その国しか生み出せない」ために内外から頼られるようなところ。そう考えると・・・前稿で書いた「蓄電池」に代表される「メイド・イン・ジャパン」の多くがこれに該当するといえるでしょう。