(前回からの続き)
日本は世界一の純資産国であり、長年にわたって経常黒字を計上してきた国です。ということで国際収支は貯蓄超過となり、それら等が回りまわって本邦金融機関に預貯金として入ってきます。ではこれを各社はどう運用するべきか?
まあ当然ながら、まずはわが国の家計や企業等への融資になるでしょう。ですが、これが伸び悩んでいるわけです。それを示すデータのひとつが預貸率(預金に対する貸し出しの割合)。東京商工リサーチ等によれば、2018年3月期決算時点における国内114銀行の預貸率は65.53%(前年同期66.47%)と、2011年の調査開始以降で最低を記録したとのこと。また預金と貸出金の差額に当たる預貸ギャップも前年同期より15兆円膨らんで過去最大の278兆円に拡大したそうです・・・
これ、この間の日銀の「異次元緩和」による超低金利政策がローン等の拡大に寄与していないことを物語っています。そもそも日銀&安倍政権は本邦GDPの主役である個人消費を、日銀政策&消費増税のWパンチで意図的に下押しさせているわけです。であれば家計の実質賃金は低下し、個人消費は低迷するから、企業設備投資等を手控え、結局は借り入れを増やさないので、融資は上記のとおり、といった具合でしょう。
こうして本邦ローンはなかなか増える気配はありません。では海外向けの投融資はどうか、ですが・・・これ現在、日本国内よりもはるかにリスキーになっています。理由は、本ブログのあちこちで書いてきたように、米・欧・中・新興国のすべてが借金バブルに依存しているため。そして彼らの通貨に対して、われらの通貨「円」が実質的に20%以上も安くなっているため。ゆえにいま外国向けローンを増やしたり巨大プロジェクトにおカネを出したりしたら、バブル崩壊で先方の資産価額&通貨が暴落し、こっちは貸し倒れ&為替差損を食らう恐れが非常に強くなっているわけです。であれば、外国には当面、手出し無用でしょう・・・(?)
以上により、日本にも外国にも預かったおカネの適当な融資先が見当たらない、ということになります。でも金融機関は、預金には利息を付けてお客さまにお返ししなければなりません。だから、何とか利回りを確保しないと、ってんで、ほぼ400兆円もの大量のマネーが流れ込んだ先が日銀当座預金・・・っても、得られるリターンはわずか0.1%/年、しかもその一部(政策金利残高)にはマイナス金利が適用されるから、実質、同預金口座にすら、もはや積めなくなっていることに・・・
ここまで書けば、ジャパンマネー(しかも数百兆円規模!)が向かうべき先がこれしかないことが分かるというものです。すなわち・・・日本国債。