世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【借金返済すら始まっていない・・・】永遠に「卒業」できない?ポルトガル①

2014-05-19 22:33:21 | ヨーロッパ

 先日、2010年前後以降の欧州国債危機にともなって国際社会からの資金援助を受けていたPIIGS諸国の一角・ポルトガルが、このほどその支援から晴れて(?)「卒業」した、なんてニュースが流れました。

 これだけ聞くと「ポルトガルは借金を完済したということか!?」というふうに思われがち(?)ですが、けっしてそうではなく、単に新規の融資を受けるのを終えた、ということに過ぎません。にもかかわらず「卒業」とは、これまたずいぶん先走った、誤解を招く言い方だな、という気がします。なぜなら、ポルトガルの借金返済の道のりは終了どころか始まったばかり・・・いや、実質的にはまだ始まってもいないのだから・・・。

 上記危機に陥って資金繰りに窮したポルトガルは2011年4月に助けを求め、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、そして国際通貨基金(IMF)の3公的機関(トロイカ)から合計780億ユーロもの支援を受けました(これまでの
同国の受領額は約738億ユーロ)。それを「卒業」する、ということは・・・同国がトロイカに頼ることなく自力で資金を金融市場から調達することを意味します。

 実際、ポルトガルは先月、3年ぶりに国債の入札を再開しています。2012年初には17%近くに達していた同国債の利回り(長期金利)は現在(5月)は3%台半ばと、トロイカ融資の金利負担(約3%)とそれほど差がなくなったために同国は起債に踏み切ったのでしょう。まあこの程度の金利差なら、あれこれと口も出してくるトロイカよりも投資家からお金を借りたほうが・・・という判断が働いたのかもしれません。

 ということで、トロイカからだろうが、投資家からだろうが、いずれにせよポルトガルが引き続き「他者」からの借金に依存している状態にまったく変化はありません。けっしてこの間の改革が功を奏し、税収が増えて財政が黒字となった分を借金相手への返済に充てる、なんて殊勝なことを同国ができるようになったわけではありません。本来なら同国は、これ以上「借金」を重ねるのではなく、わが国のように「歳入」強化と「歳出」削減で財政再建を図るべきなのに・・・。

 ところで、ポルトガルが上述の「卒業」に至った背景にあるのは借入金利の低下です。ではなぜ同国の金利は下がったのか? トロイカが融資の見返りに求める厳しい財政緊縮策を同国がマジメに実行してきたから? まあそれもゼロではないのでしょうが、それ以上にここのところの金融マーケットの「リスクオフ」から「リスクオン」へのモードチェンジが重要でしょう。欧州国債危機以降のさまざまな金融情勢が投資家のリスクテイク意欲を喚起し、それが相対的にハイリスク・ハイリターンなポルトガル国債への需要を高めることになり、同国債の価格が上昇し、利回りは低下した、ということです。

(続く)


金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【外国の訴訟から国益を守れ... | トップ | 【絶対に完済はムリ!】永遠... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ヨーロッパ」カテゴリの最新記事