(前回からの続き)
先述のように、巨大債務の重みにあえぐギリシャを救済するための唯一の策と思われた債権者による債権放棄は、実際には選択し得ないものでしょう。民間金融機関、EU・ECB、そしてIMFといった債権者は、それぞれの事情こそ違うものの、いずれもギリシャ債権の貸し倒れに耐えられそうにないためです。
ではギリシャ・・・とEUはどうなってしまうのか、ですが・・・おそらくはこれまでのとおりでしょう。つまり、両者は今後も定期的に―――2~3年おきくらいのインターバルで(?)同じことを繰り返すわけです。つまり、まずは、借金の返済ができない!などとギリシャが騒ぎ、EUは困ったな~と鳩首会議を開き、結局は、今度こそ本当に今回限りだぞ!などといったいつもの(?)決まり文句とともに、ESM(欧州安定メカニズム)のおカネを「追い貸し」してあげる、といった具合です。
ついでにいうとこの枠組みにはIMFも間違いなく加わることでしょう。一応IMFは、いままでもこれからも、欧州以外の出資者の視線を意識して(?)「ギリシャの債務持続性には疑義があるため、当方としては同国が新たな改革プログラムを提出し、当該持続性が確認できるようになるまでは新規融資は行わない!」などと、出資者利益を守るらしい?姿勢をいったんは示しつつ、でも同国にデフォルトされると(米欧金融システムが危機に陥って)マズいので、これまたいつものように「立派な?計画がギリシャから示された」ため、日本等から拠出されたおカネを同国に注ぎ込むことに・・・
で、このIMF、今後いっそう存在感を高めそう。これまで述べたように、ESMマネーがEUみんなのものであるなか、EUにはギリシャにばかりこの貴重な資産を貸し出すことが、公平性とか同国のデフォルトリスク等の観点から、ますます難しくなっていくでしょう。であればEUは、ウチの追加融資はなるべく控え、その分IMFに余計に出させよう、と画策(?)すると思われます。
このあたりがはっきりと感じられる象徴的な例が、2015年2月頃、同国に対する第3次支援の是非が取り沙汰されていたときのショイブレ独財務相の次の言葉です。同氏は独大衆紙ビルトのインタビューで、IMFがギリシャ支援から撤収するようなら、ギリシャのEU圏離脱に賛成する、と答えています。これはつまり・・・Grexit(ギリシャの同離脱)に(欧米諸国が)耐えられるはずがないだろ、だからIMFはギリシャに関与し、カネを出し続けるしかないんだよ!ってな感じでしょうか・・・(?)