世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【メルケル政権継続でQEもまた延長か】ECB総裁ポストから分かる独仏伊の経済事情④

2017-10-03 00:01:29 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 先月24日に行われたドイツの連邦議会下院選挙で、こちらの記事にご紹介の極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が全709議席中94議席(得票率12.6%)を獲得し、第三党に躍り出ました。以前からユーロ圏の支援に反対する自由民主党も80議席(同10.7%)と議席・得票数ともに伸ばしています。その一方、アンゲラ・メルケル現首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)は246議席(同33%)と、両数値ともに選挙前から減らしています・・・

 難民受け入れの是非を含め、この結果をもたらした要因や論点はいくつか考えられますが、本稿の文脈に沿って注目するべきは、現行の通貨「ユーロ」に基づく通貨・金融制度に懐疑的なAfDや自民党が、これを受容するCDUの議席を実質的に食う形で躍進した点。このあたりにドイツ有権者の・・・先述「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」(ユーロ圏各国の国債価格の序列)におけるフランス以下の国々に対するイラだちと、度重なるギリシャへの追い貸しに代表されるCDU政権のユーロ圏重債務国への甘~い姿勢に対する不信感の高まりが読み取れると思います。実際、かねてからAfDはいまのユーロを、ドイツやオランダなどの「上位国」が使う新通貨と、フランスなどの「下位国」が使うものに分割すべき、と主張しているわけですし・・・

 ・・・とはいってもCDUが第一党になったのは事実であり、なんだかんだでメルケル首相が4期目の政権を担うことが決定したわけです。逆にいえばこれ、当面は「Gexit」(ドイツのユーロ圏離脱)の可能性がほぼなくなり、現行ユーロの枠組みが揺るがないことを意味するから・・・仏西伊らはほっとしたことでしょう。つまり・・・これら諸国の「命綱」(≒財政ファイナンス)であるECBQEもまた、続けられる公算が高くなった、みたいな感じです(?)。その逆に、Gexitを強く望む(?)ドイツAfDの支持者らはこのあたり、今後も大いに不満を感じるところでしょう、が・・・まあ仕方がありませんね・・・

 ユーロ圏のうち通貨ユーロを使用しているのは現在19か国。それらのうち人口や経済規模が大きく、ゆえに金融・通貨政策への影響力も大きな独仏西伊はユーロ圏の4大国と呼ばれることがあります。上述のようにそのうちの3か国―――仏西伊がさらなるQEを欲し、ドイツ(第4次メルケル政権)もまたこれに理解を示す(?)・・・となればユーロ圏の方針は決定、独連銀&イェンス・ワイトマン同総裁の先述理念の実現は叶うことがなさそうです。こうしてQEを繰り返す先にあるのは・・・ユーロ圏の財政統合・・・という名の、仏西伊らがしこたまこしらえた財政赤字をドイツが血税で補てんする、といった構図になるような気がしますが・・・

・・・ってドイツもこのあたり、他国を責めてばかりいられないかもしれませんよ。かの国にはコチラの火薬庫(?)がありますからね・・・

(「ECB総裁ポストから分かる独仏伊の経済事情」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【やはり独はECB総裁ポス... | トップ | 【カタルーニャ、独立宣言強... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ヨーロッパ」カテゴリの最新記事