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【日本の僥倖:アベノミクスのインフレ2%が未発現】インフレ政策:国債所有者が自国民の国家では不適切⑤

2018-08-01 00:01:02 | 日本

前回からの続き)

 以上、日本では国債所有者の大半が自国民であることから、その資産価値が目減りするインフレ政策は適切ではない、と綴ってきました。インフレについては以前記事「なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか」および「インフレ政策が日本で不適切な理由」等においてもそのネガティブさについて指摘しましたが、今回の論点を含め、この国が意図的に発現させるべき経済環境でないことは明白だと思っています。

 あらためてインフレとは・・・「名目金利-インフレ率<0」すなわち実質金利がマイナスに沈んだ状態のこと。「アベノミクス」(≒日銀の金融政策「異次元緩和」)はその年率2%の達成を目論んでいるわけですが、この実現の際は現在100円のモノが1年後に102円(税抜き)になるいっぽう、預貯金100円はほぼもとの100円のまま、つまりその実質価値が約2円目減りすることになります。であれば誰もおカネを貯蓄に回さず、元本割れリスクを承知でインフレ以上の利回りを得られる株などに投資しようとするでしょう。その意味するところは・・・これまで国民に買い支えられてきた日本国債(≒預貯金)が十分に売れなくなって、その価格が低下し、金利がじりじりと上昇する・・・ということです・・・

 先述したように、日本の国債等残高は現時点で1千兆円を超える規模に膨らんでいます。ということは、金利のわずかの上昇でも、政府の返済負担は急増し、財政は危機的状況に陥るでしょう。したがって本来ならば、わが国の政府や金融当局にとってこうした破局を招きかねない施策の採用は絶対のNG・・・のはずですが、いまは異次元だからね・・・

 ・・・幸いなことに、というより諸外国が「インフレ政策」を実施してくれているおかげで(?)、現実にはアベノミクスは上記目標を達成できていません。だからこそ日本は上記破綻を免れているわけです(?)・・・っても、このままではどうなることやら分かったものではありません。よって一刻も早くこの国がもとの次元、つまり最低ライン「名目金利-インフレ率=0」(あるいは「≧0」)に回帰するよう、願うものですが・・・

(「インフレ政策:国債所有者が自国民の国家では不適切」おわり)

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