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【日立の英原発事業、コスト上昇&ポンド高で超危険?】いまは外資買い厳禁の「巣ごもり」期間のはずでは③

2018-05-15 00:00:41 | 日本

前回からの続き)

 日立製作所英国で計画している原子力事業が重大な局面に差し掛かっています。これ、同国ウェールズ地方にあるアングルシー島に日立製の原子炉2基を擁する原子力発電所を新設しようというもので、近年中の着工、2020年代半ばの運転開始が計画されています。2012年に日立は本プロジェクトの実施会社であるホライズン・ニュークリア・パワーの所有権を890億円でドイツ企業から取得し、これまでにその準備等に2000億円をつぎこんできたとのこと。しかし、その間の英国における原発の規制強化等によって事業コストが200億ポンド(約3兆円)ほどに膨張し、一民間企業が背負うにはリスキー過ぎる案件になってきていました・・・

 この3兆円について当初、そのうち2兆円は日英両国の金融機関の融資で、残りの1兆円は日立と日英政府・企業の出資で賄う予定だったそうです。この融資には日本のメガバンクと国際協力銀行が応じ、これを日本貿易保険が債務保証するというスキームでした。他方、事業リスクの高まりから日立は英国に対し、政府支援が十分に得られないのなら事業から撤退する可能性を伝えていました。そんななかで今月3日、日立の会長と英国のメイ首相との会談が行われ、英国側は上記日英の銀行融資の全額を債務保証する案を提示した模様。これは何とか日立に踏み止まらせたいという同政府の強い熱意の表れとみることもできそうです、が・・・

 ・・・日立としては、じつに悩ましいところだろう、と推察します。東日本大震災にともなう原発事故による影響で、日本国内はもちろん世界各国でも原子力ビジネスは停滞気味です。そんな中で英国の本事業は、数少ない先進国の案件として、何とか実施にこぎつけたいものでしょう。逆にこれをいま作っていかないと、これまで培った原発設計・建設・運用のノウハウを高いレベルで維持し、発展させることがますます困難になり、日立は原発事業そのものから撤退せざるを得なくなってしまうかも・・・

 ですが、上記のとおりこれ、非常に危険なビジネスになっています。いくら英国政府が保証するっていっても、コストがさらに膨張するおそれがあるし、だからこそ日立は本事業の発電1メガワットを市場価格の1.5倍以上の80ポンド半ばで買い取るよう、英国に求めているわけです(同国は6070ポンドに抑えたいもよう)。こんな高額の電気代を英国民が唯々諾々と受け入れるとはとても思えませんが・・・

 このあたりに本稿の文脈に基づく指摘を加えると、英国・・・の通貨ポンドは、本プロジェクトのコスト回収に必要な数十年間(!)もの長いスパンで予想するならば・・・に対して大きく減価するのはほぼ必然です。以前こちらの記事アベノミクス」(円安誘導)前のポンドの値動き(対金価格)がはもちろんドルユーロなどを大きく下回って推移した様(って韓国ウォン並みのトホホぶり?)を紹介しましたが、これが本来のポンドの実力―――英国経済の実態のはずです。つまり・・・いまのポンド高(アベノミクス円安)局面で掴んだポンド建て資産の価値は数十年後、オソロシーほど下落しそうだということです・・・

 原子燃料とか放射線の厳格管理といった点に加えて、海外の原発事業がコワイのはこのあたりです。巨大コストを取り返し、利益を上げられるようになるまでに超長~い時間がかかること、そしてその間に得られる売り上げとしての外貨が円に対してどんどん値を下げてしまうこと、さらに事業スタート時点での相手通貨が対円で高過ぎること・・・

 以上をふまえ、日立には「合理的」な経営判断を期待しています。どうか同業他社の二の舞だけは避けてくれますように・・・

(続く)

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