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【円貨の値上げ分丸ごと外国へ漏出…】なぜアベノミクスのインフレは悪質なのか①

2015-09-29 00:02:34 | 日本

 最近の原油価格の下落等のおかげで、ここのところわが国の物価が落ち着いている感じです。収入の増えていないわたし、そしておそらく大多数の国民にとって、これはありがたい状況かな、と推察します・・・が、「インフレ目標年率2%」を掲げる安倍政権・黒田日銀にとってこれは忌々しき事態でしょう。そこで近々、インフレを煽るべく(?)日銀が追加緩和を発動して・・・なんて展開が予想されるわけですが、以前から記しているように、これこそ―――アベノミクス」すなわち日銀の金融政策「異次元緩和」が引き起こすインフレこそ、日本経済を苦しめるばかりの誤った処方箋だと認識しています。本稿ではそのあたりについて考えるところを綴ってみたいと思います。

 以下のイメージはアベノミクス前・後、つまり政策的な円安誘導の開始前・後の商品Aの売価(税抜き)を比較したものです。同前・後で20%上昇しています(あくまでイメージなので、すべての財・サービス価格が同率で上昇したというわけではありません)。まあこれだけ見ると、ふーん、といった感じで、売上原価の何が上がったのか、とか、利益の割合が増えたのか、などといった情報は分かりません。

 で、これを内訳が見えるように表現したものが次のイメージになります。「青」は利益(株主配当等)、「黄」は国内の業者等に支払うべきコストで人件費つまり従業員等の給料・賃金(網掛け部分)もここに含まれます。そして「赤」が外国に対して支払われる代金―――輸入原材料・・・原油・天然ガス・鉄鉱石・小麦・飼料など、「ドル」での支払いが求められる費用です。これらのドル建て価格は国際商品市場の動向で変動するため、一企業の経営努力等で調達金額を引き下げることが難しいものです。

 当たり前ですが、上記のうちの「赤」の部分はアベノミクス前後で50%程度増えています。アベノミクスによって為替レートが1ドル約80円から同120円へと円安ドル高に誘導されたからです。それまでは1ドルの原材料の購入に80円の出費で済んでいたのにアベノミクス後のいまは同120円と5割も余計に払っていることになります。このあたりはアベノミクス開始後の企業物価指数の上昇等でも確認ができるところです。

 つぎに「黄」の部分ですが、同前後では変化がありません。このへんは上記「赤」の支出が増えた分だけ、国内要因のコスト上昇は食い止めないといけないからです。まあ本例のように「増減なし」は良いほうで、なかにはアベノミクス後は(人件費を含めて)この「黄」の費用を圧縮せざるを得なかった企業も少なくないのではないでしょうか。

 そして「青」の部分も変化なし、としました。これは昨今の株主重視のトレンドのなか、企業の経営者が、製造コストが上昇するような厳しい環境でも一定水準の利益を計上しようとするだろう、と推測したからです。

 こうしてトータルの商品Aの売価は「赤」つまりドル建てで購入される輸入原材料の円建て支払額だけが増加したぶん、インフレになったのでした(20%の値上がり)。で、これは企業経営者はもちろん消費者にとっても、そして日本の国益の観点からも、良いことではないはずです。というのは当然のことながら、20%の値上げ幅に相当する「」がそっくりそのまま国内から外国に漏出することになるからです。もちろんこれはアベノミクス、つまり意図的な円安誘導がもたらしたこと・・・

続く

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