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【日銀への贈与国債の利息分、国民は損を被る?】日銀の債務超過転落は避けるべきだ③

2017-11-19 00:02:19 | 日本

前回からの続き)

 前回、日銀の「出口戦略」推進に当たって懸念される日銀の債務超過に対して、政府は国債(おそらく永久国債!?)を振り出して日銀に贈与することでこの状態を解消しようとするだろう、と記しました。その場合の金利コスト(≒国民負担)は日銀の国庫納付金で同額の回収ができるため、ゼロ。ということで国民の皆さん、何か問題でも?というわけです。

 うーん考えましたね~、(自分で書きながら)その手があったか、という思いがしなくもありません・・・が、ちょっと待っていただきたい。それでも・・・以下のような損害は免れないのでは・・・?

 このへんについて数字を入れたシミュレーションで考えてみたいと思います。上図は前回ご紹介したこのスキームのイメージです。上記「現在」と「国債贈与後」の総資産の額を100、同自己資本の額を10、負債(日銀券など)を90、「債務超過転落時」の資産が60、贈与した国債の額を40、保有国債等の利回りを1%とします(単純化するために付利等のコストは考えません)。

 ここで「現在」つまり出口戦略開始前の段階における日銀の利益(国庫納付金)は100×1%=1となります。これが「債務超過転落時」になると60×1%=0.6に目減りしてしまいます。当たり前ですが、元手の資産が減少するために利益も同じく、ということです。そして「国債贈与後」の利益は(60+40=)100×1%=1と「現在」と同額に戻ります・・・が、このうちの0.4(=40×1%)は政府の国債にかかる支払利息に充当され、一般会計に回る国庫納付金は1-0.4=0.6に減ってしまうことに・・・

 この「0.4」こそが本スキームにおける国民の損害額、すなわち本来ならば―――日銀が債務超過に陥らなければ―――国民が得ていたであろう一般会計への繰入額です。これが同会計に入らない、ということは・・・それだけ歳出額が減って国民は損を被る―――同額の行政サービスを受けられなくなるかもしれないし、これを歳入で補うためにさらなる消費増税(!)が必要とされてしまうかもしれない。それらのいずれにせよ、わたしたちはこうして日銀「異次元緩和」のツケを払わされることになる・・・のではないか?

 このシミュレーションは分かりやすく見せるために単純化&誇張しています。利回りの変動もあるし超低金利のメリット・デメリット等もあるでしょう。したがって実際の国民損失はこれほど高い割合にはならないとは思います。それでも・・・日銀の債務超過状態の解消を図るためにこのスキームが実行されたら「国から日銀に贈与される国債の利息」の分だけ、国民が享受する利益(シニョレッジ:通貨発行益)が減少するリスクは避け難いと考えるものです。

 以上が、日銀の債務超過つまり国が日銀に資本注入をしなければならない事態を回避するべきだ、とする理由です、が・・・上記の国債金利にまったく影響されない、これぞ「異次元!」って感じの次の策ならどうだろう・・・?

続く

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