仏大統領選でEU残留派マクロン氏勝利!(というか同脱退派?ルペン氏敗北!)の後、わが国では欧州に関する政治経済系のニュースが少なくなったような印象を受けます・・・が、そんな中このほど重大な決定が欧州でなされました。それはギリシャへの「追い貸し」・・・って、毎度おなじみですが・・・
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は15日、懸案となっていたギリシャへの総額85億ユーロもの大型追加融資の実行で合意に至りました。同国は7月に期限の来る債務返済に充てるおカネとして事前に70億ユーロを調達する必要に迫られていたため、この融資決定によってまさにぎりぎりの局面で資金繰りにめどがたったということになります。ブルームバーグによれば、議長国ルクセンブルクの財務相が記者団に対して今回の合意がギリシャの信頼回復を支援する「きわめて建設的な決定(a very constructive decision)だ」と述べたうえで「目標は向こう数か月あるいは1年でギリシャを市場復帰させることだ」と語ったそうですが・・・
で、この対ギリシャ融資、その本質的意味は「建設的な」ものといったポジティブなものではけっしてなく、単なる問題先送り策すなわち上述のとおり追い貸しに他なりません。こちらの記事他でも綴ったように3150億ユーロもの対外公的借り入れを抱える同国の債務持続性はとうに失われており、もはや大規模な借金帳消し以外に手がない状況・・・なのだけれど、これによって発生する巨額の貸し倒れ損(とかデリバティブ決済等)の重みに貸し手側が耐えられない(?)ために誰も思い切った決断ができず、結局は借金返済期限が迫るたびにこうした「建設的な」決定が繰り返される、というわけ(?)。したがってこの先も、おそらく100年後も(?)ギリシャとユーログループは同じことをやっているのではないか、なんて気さえしてきますが・・・
・・・とまあこれ、ユーロ圏の関係者―――ギリシャと欧州債権国とECB(欧州中央銀行)―――だけでやっている分には、個人的には一向にかまわないと考えています。もっともありそうなシナリオはECBが最終的にはギリシャなどの重債務国の国債を引き受けまくり、通貨ユーロの信認が失われてユーロ圏は皆、インフレに沈む(?)・・・といったあたりでしょうが、わが国は早めに欧州の債権回収につとめるとともに、ユーロ建て資産への投資を手控えておけばそれほどのダメージを被ることはないでしょうから・・・(?)
ここで気になるのが、国際通貨基金(IMF)の動きです。