前稿に続くテーマですが、もっと本質的と思う点からアプローチしてみます・・・
わたしは日銀の金融政策「異次元緩和」(現時点の正式名称「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)の本当のねらいを知っているつもりです(?)。それは・・・日本ではなく「アメリカ支援」―――米資産価格およびドルの上昇促進を図ることでアメリカ様をお支えする、といったもの(?)。
・・・たしかに表向きの目標(?)こそ「デフレ脱却≒インフレ年率2%の達成」といったようになっています。でも、その背後には・・・インフレ2%のいっぽうで名目の金利をほぼ0%に引き下げることで実質利回りをマイナス圏に誘導し、これによって日米の金利差を大きくしてジャパンマネーに対米投資を促そうという戦略があったはず(?)。
この意図がはっきりと感じられたタイミングがありました。それは2014年10月のおわり。このとき、米FRBがそれまで続けていた量的緩和策第三弾(QE3)の終結を決定した直後に日銀は「追加緩和」(国債購入枠をそれまでの年50兆円から同80兆円[現行ベース]に引き上げ、など)を発動したのでした。これ、上記ねらいを踏まえると、QE3終了で米金利の先高観が高まるなか、FEBに代わって日銀が引き続き超低金利マネー供給源を担うことでドル資産の価格急落を食い止めるとともに、同緩和策によって日本の金利をさらに引き下げればマネーのいっそうの円→ドル(ドル高円安)が促される・・・といった具合です。
そのとおりとなったのか(?)、QE終了(金利上昇)観測から下落傾向にあった米株価は日銀の同発表後、その直前までの落ち込みから立ち直り、再び高値にチャレンジしていきました。このあたりをダウ平均でみると、同年10月中旬は1万6千ドル台半ばだったのが同月末には1万7千ドル台を回復、翌2月には1万8千ドル台に乗り、その後も高値圏でもみ合いつつ、昨年11月(ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利!)以降はご存知のように、それこそ青天井!?といったスゴイ(というかヤバイ?)勢いにあるわけです。
他方、為替(ドル円)のほうは・・・株価ほどは見込み(?)のとおりにはなっていない印象を受けます。たしかに上記緩和後~2015年にかけてはさらに円安ドル高が進み、1ドル100円台半ばから2015年6月には同125円を超えるレベルに達しました。ですがその後は・・・利上げ再開に象徴されるようにFRBが金融引き締めを強め、いっぽうの日銀がマイナス金利まで導入して緩和を進めたにもかかわらず・・・円安ドル高は進まず、現在(12月初旬)は同111~112円あたりと、追加緩和スタート当時とほぼ同じ水準にとどまっています・・・