あれこれ言ってみたところで、かの国に選択の余地はほとんどないような・・・
イタリアでは先月31日、民法学者のジュセッペ・コンテ氏が次期首相に就任することが決定されました。3月4日の総選挙ではポピュリスト政党の「五つ星」が第一党に躍進したものの、同党を含めてどの勢力も議会過半数に届かなかったことから組閣等が難航、これまで延々と連立協議が続けられ、ようやく妥協が成立、首相や閣僚等の陣容が固まったということになります。
このコンテ新体制、五つ星と極右政党「同盟」との連立政権となります。誕生までの上記経緯や主義主張が相当に異なる(?)方々が組んでいることなどから、政権運営の今後には不透明感がぬぐえません。そんな中、注目の所信表明でコンテ首相は何と?国民に急進的な変革をもたらす、と約束したそうな。このあたり上記2政党の政策に配慮すれば当然ではあるわけで、実際に同首相は五つ星の公約である最低所得保障(ユニバーサル・ベーシックインカム)とか同盟の公約である不法移民の流入阻止が優先的な課題になると述べています。これ、いずれもユーロ圏の共通ルールに違反しかねない話です・・・
他方、注目されていたイタリアのユーロ離脱については・・・一度も考えたことがないと言明、「これまで検討したこともなく、検討中でもないとあらためて強調する必要がある」と語っています。他の強硬的政策に比べると、こちらは少しおとなしい(?)印象を受けますね・・・
・・・って個人的には、誰が首相になるのかによらずイタリアはそんなスタンスに立つのだろうな、と予想していました。つまり、選挙民受けを狙って反EU的な姿勢を示してはみせるものの、だからといってユーロ圏からは絶対に出ませんよ、というスタイルしかないだろう、ということです。このへんは本ブログで何度か示している不等式および関連の法則(?)から考えれば当たり前のことです(?)。つまり・・・
・ユーロ圏各国の国債価格を高い順(長期金利の低い順)に並べると「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」となる
・これらの国がユーロ圏を離脱して独自通貨に回帰する場合、上記不等式中、フランスより上位の国の通貨は共通通貨「ユーロ」よりも強くなり、同国よりも下位の国の通貨は弱くなる
・中間あたりに位置するフランスの新通貨はユーロとほぼ等価になる(って、これは微妙かな?)
これに当てはめて考えると、イタリアはフランスよりもだいぶ弱い・・・どころかユーロ圏最弱のギリシャに近いくらいなので、同国が万一、ユーロ圏から脱退して以前の通貨リラに立ち戻ったりしたら・・・リラはユーロ等に対して大暴落するため、同国はしこたま抱えたユーロ建て債務の支払いにたちまち窮して破綻へ・・・