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【円安時にWHを掴み、損失計上のタイミングの悪さ・・・】東芝の苦すぎる教訓「海外巨額投資はNGだ」②

2017-03-01 00:01:58 | 日本

前回からの続き)

 前回綴ったように、わが国を代表する総合電機メーカーの東芝が経営危機に陥った原因は、リスクの塊のような原発事業を、自社によるマネジメントが利きにくい(?)グループ企業「ウェスティングハウス・エレクトリック社」(WH)に、これまた様々な面でリスキーな外国それもアメリカで手掛けさせてしまったことにも求められるところです・・・

 で、その海外案件では為替リスクも十分に気を付けなくてはならないポイントです。このあたり東芝はどうだったかというと・・・結論的にはWHを「高値掴み」したといえると思います。同社が54億ドルもの巨費を投じてWHを買収したのは2006年のことでした。同年の平均為替レートは1ドル116円ほどだったので、この円換算の買収額は6千数百億円。ところが同年の実質実効為替レートでは同90円ほどです。これに照らすと東芝は、実体としては2割以上も円安ドル高のときにWHを「掴んだ」ということになります。これが同90円のときだったら1千数百億円も安く買えたのに・・・

 まあ、その頃は米サブプライムローン・バブルの最盛期で、当時の(って、いまもそうだけど・・・)超低金利マネーであった「」を使ったキャリートレードが盛んに行われていて、上記のようにかなりの円安になっていたという面がありました。それでも外国の原発企業というハイリスクな買い物をする以上、当時の東芝の経営者はこのあたりの為替レートにもっともっと敏感であるべきだった・・・

 で、「アベノミクス」すなわち「円安誘導」政策下の現在。足元の名目為替レートは1ドル113円ほど、一方の実質実効レートは同76円!(1月時点)ということで、2006年と同じような、いや、それ以上に実質ベースから大きくかい離した超~円安ドル高状態です。当たり前ですが、こうしたときの米ドル事業の円建て損失額は円高時よりもず~っと膨らむわけです・・・

 ・・・こうして東芝は、WH買収そしてこのたびの損失計上のいずれも、極端な円安ドル高という、為替レートの観点からは最悪のタイミングに当たってしまったわけです。まあ2006年時点(WH買収時点)では、その後のアベノミクスまでは見通せなかったため、今回の大損害のうちの為替差損分は如何ともし難い面はあるでしょう。それでも、異常なほどの円安ドル高局面で常識的には見送るべき時に米企業それもリスキーな原発会社に手を出すという当時の東芝経営陣のジャッジは、為替リスクに対する認識の甘さも相まって、やはり無茶だったといえるのではないでしょうか・・・

続く

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