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【減価し続けるドル保有こそ日米安保の対価】トランプ氏発言から分かるアメリカの弱体化⑧

2016-04-13 00:00:26 | アメリカ

前回からの続き)

 米大統領選・共和党候補指名レースで最有力のドナルド・トランプ氏は日米安保条約について、日本が外国に攻撃されればアメリカは日本を守るために戦うが、その逆がないことを「一方的だ」(one-sided)と批判しています。たしかに日米安保は、とりわけ一般米国人の目にはトランプ氏が指摘するような不公平なものに映るかもしれません。ですが、二国間の条約で一方だけがトクをするなんて、あり得ない。アメリカにも十分にメリットがあるからこそ、日本の安保を請け負っているわけです。

 では、アメリカにとって日米安保の利益とは何か、ですが・・・それは「思いやり予算」(日本による駐留米軍経費の多額負担)などではけっしてなく、日本による「ドル」の信認の下支え、でしょう。これこそアメリカが同盟関係を結ぶすべての国のうち、上記「片務的」な条件と引き換えに日本だけに課した秘密の(?)約定なのではないか・・・

 ご存じのようにわが国は中国に次ぐ外貨準備保有国です。で、その大半はドル・米国債・・・。それはドルが基軸通貨(≒石油引換券)だからという理由以上に、日本が戦後、このアメリカとの約束事、つまりドルの「買い支え」をひたすらに順守した結果といえるでしょう(?)。

 ・・・ブレトン・ウッズ体制(戦後の金融秩序)発足から1971年のニクソン・ショック(金とドルの交換停止)までの間、各国、とくにド・ゴール大統領率いるフランスを筆頭とする欧州諸国はアメリカとの貿易等で得たドルをアメリカに差し出し、1トロイオンス35ドルという固定レートでゴールド)に換えて自国に持ち帰っていました。でも日本だけはこれをしなかった・・・というか、できなかった―――自国の防衛をアメリカにやってもらうことと引き換えに、金兌換を認めてもらえずにドルを持たされ続けた(?)わけです、わたしの推測では。その後も「プラザ合意」(円・ドイツマルクに対するドルの大幅切り下げ)以降の巨額ドル買い介入、最近は「アベノミクス」による公的年金基金を使ったドル資産投資などによってわが国はドル・米国債をしこたま買ってきました―――もちろん金ではなく・・・。

 ・・・もし日本が上記プロセスでドルを金に換えたり、ドルではなく金を買っていたら・・・いまごろは外貨準備としての金をフランスの金準備(2400トンあまり)をはるかにしのぐくらいに持っていたでしょう。かりにこれを5千トンとし、上記兌換レートと現在価格との差額1200ドルをこれに乗ずると何と!21兆円ほどの差益が出ている計算です。これに対してドルは1ドル360円に始まって・・・現在は約108円と1/3以下に減価(実質実効レート[2016/2]では75.3円と、1/5近くにまで減価)、金に対しては何と!97%も暴落(1ドル1/35オンス→1/約1250オンス)・・・。したがって大部分がドル建て資産の日本の外貨準備はいま、兆円規模の巨大差損を抱えているわけです。ああ、これを金で持っていれば日本(政府等)はいまごろ超リッチで消費税なんていらなかったかもしれない(?)のに、このように大損することが分かっていながらどうしてドルを持ち続けたのか・・・は、上述のとおり・・・

 このドル保有にともなう巨大損こそ、日本が日米安保、つまりはアメリカに支払い続けた対価だった。だからこそアメリカはいまだに8千トンあまりもの世界最大の公的金準備を有し、これに裏打ちされた同国通貨のドルは基軸通貨の地位を保っていられる・・・。トランプさん、これでもまだ日本は安保タダ乗りだ!なんて言いますか?

続く

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