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【ドル建て原油安には追加緩和で円建て価格をつり上げへ】アベノミクス、やはり貧富差拡大に成功!④

2016-05-05 00:01:28 | 日本

前回からの続き)

 前回までアベノミクス」が政策意図的な円安インフレを喚起するとともに、(リフレ政策とは異なるが)逆進性のある消費税の税率引き上げを行い、消費性向(所得のうちに消費が占める割合)が高い中~低位所得層に対して食費や光熱費の支払い負担をいっそう増やしてこれらに属する人々の経済生活水準を低下させることで「貧富差」の大きな社会の形成に成功してきた、といった見方を綴りました。ところが・・・

 本稿3度目登場、消費者物価指数(CPI)の推移(アベノミクス実質開始月201211月を100)を表す上記グラフを見ると、昨年夏以降、エネルギー関係の価格が急落している様子が窺えます。いうまでもなくこれは「逆オイルショック」の影響。直近の値(今年3月)はCPI104.1に対して電気こそ105.6とCPIをまだ上回っているものの、ガスは99.1、そしてエネルギー全般は92.9と、両者は消費税率引き上げにともなう増分(5→8%で2.9%上昇)を打ち消すばかりかアベノミクス実質開始時点を下回る水準に達しています。これらが意味することは・・・国民の光熱費の支払い負担が軽くなる、すなわちこれらの所得に占める負担割合が相対的に大きな中低所得層の消費生活レベルが改善するため、貧富差を拡げようとする側(≒アベノミクス)の目からはネガティブ・・・ということになる・・・

 このあたりに本稿冒頭でご紹介の「アベノミクスは失敗したのではないか」とささやかれる理由があるように思えます。アベノミクス所期の狙い「貧富差拡張」がエネルギー価格の低下によって頓挫しかけているんじゃないの?という意味です。これに対する安倍首相周辺の回答はもちろん「アベノミクスは失敗してはいない」つまり貧富差を拡げる手はまだある、ということになります。で、その手は・・・今般のエネルギー価格低下が逆オイルショックというアベノミクスとしては如何ともし難い海外要因である以上、当然ながら自分たちができる手すなわち円安誘導の強化ということになります。円安促進によってドル建てで下がっている原油価格を円建てではつり上げることにより、光熱費の再上昇を促して貧富差拡大路線に回帰しようという目論見です。

 で、そのテコとなるのが、言わずと知れた日銀の「追加緩和」となります。この追加緩和、つぎの2点から貧富差を拡大する方向に機能します。まず第一点は上述の円安インフレ促進です。そして二点目は、これが富裕層の金融資産の大宗を占める株価の上昇を促すこと。こちらの記事に書いたこと、そして足元の情勢を見れば一目瞭然、いまの株式相場の地合いは世界も日本も完全に金融政策要因で決まる感じで、日銀が追加緩和決定→円安株高、同見送り→円高株安となっています。サルでも分かるこのパターンに基づいて日銀が追加緩和を打てば、円安物価高で大した資産を持たない中間層・貧困層の生活レベルが抑制されるいっぽう、富裕層には株価上昇にともなう資産効果増大というメリットを享受させることが可能となり、両者間の資産および生活水準のギャップ拡大が自ずと図られるというわけです(円安よりは弱いが、原油高にも円安と同じ効果がある)。

 このように考察してみると、いろいろなことのつじつまが合ってくる―――アベノミクスの狙いが「貧富差」拡大にある、ということがお分かりいただけるものと思います。

続く

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